「天井から滴るみそ汁」「おじさんが悪い」…瑠奈被告の癇癪を咎めなかった、両親が犯した本当に重い罪《札幌・首切り事件》
映画やドラマで自己学習した英語
「音声で流されたのは、浩子被告の初公判で弁護側が説明した瑠奈被告の『ゾンビ妄想』のうちのシンシアだったとみられます。瑠奈被告自身はすでに死んでおり、その身体(死体)の中には5~6人の魂が入り込んでいる、主張したものにあたります」 傍聴した前出のジャーナリストは「気になることがあった」と明かす。 「シンシアとみられる人格の時は、英語で話すこともあったようですが、勉強をしていない瑠奈被告は難しい言葉は英語で話せない。だから途中から日本語になっていました」 さらに裁判では、修被告のスマートフォンなどで瑠奈被告が検索した履歴についても指摘された。 「loveとかam、meet、get、takeなどの英単語の過去形を調べていたこともあった。ただ、瑠奈被告は不登校で学校に通えていないため、英文法は得意ではないと修被告は述べていました。『(英語を)しゃべるのは得意だけど、文法と言われると難しい』とも説明しており、勉強方法を弁護側から尋ねられると、『動画やドラマを見たりして自己学習』と答えていました」 そのため、瑠奈被告が英語で訴えていた言葉は、何らかのドラマや映画のセリフだった可能性もある。 「6時間の音声、すべてを聞いていないため何とも言えませんが、ホラー作品のセリフのようなやり取りだと感じました。悪魔が憑依する作品にありがちな……。気に入った作品は繰り返し見ていて、感情が昂ったときにそのセリフが出てくるほど、世界観に入り込んでいたのではないでしょうか」 前出のジャーナリストによると、音声の瑠奈の言動はどことなく芝居がかっているようにも感じられた、という。
天井から滴るみそ汁。でも、両親は咎めず
「錯乱状態のどこまでが疾患によるものなのかはわかりません。ですが、生きづらさを感じていた瑠奈被告は、いつのころからか、ほかの誰かを演じることで心の安寧を図ってきたのではないでしょうか」 この日、浩子被告の兄の証人喚問も行われ、瑠奈被告の子どものころの様子について証言した 「3人を見たのは、瑠奈被告が幼稚園の時だったそうです。食事中、みそ汁が天井に着くくらい激しくみそ汁椀をぶちまけたり、ほかの子がゲームしているとき途中でやめたなど、当時の瑠奈被告の様子を説明。瑠奈被告の両親は咎めることはなく、兄は驚いたことを明かしていました」 浩子被告の兄の証言はさらにつづく。瑠奈被告が小学生くらいのときのことだ。浩子被告の自宅に電話をすると、瑠奈被告が電話に出た。当初は「おじさんだよ」「勉強をしているか」など他愛もない会話をしていたというが、そのうちに瑠奈被告は一方的に「おじさんが悪い」などと言いだし、浩子被告に電話を替わったこともあったという。 修被告らは瑠奈被告に対し、「子どものころはきちんとしつけをしてきた」と述べていたが、第三者からするとそうは見えなかったようだ。瑠奈被告の行動を咎めることはなく、幼少期から「瑠奈ファースト」を貫いてきた様子がうかがえた。 そうした生活をしていれば当然のことながら、周囲との軋轢が生じる。やがて世間とのズレが生きづらさになり、逃れるために「別の自分」を演じ始めたのではないか。 被害者への復讐も、映画の登場人物の一人になりきっていたからこそ、躊躇なく成し遂げれたのかもしれない。 むしろ、演じていたのは瑠奈被告だけではない。修被告も浩子被告も良き父、良き母を演じていた。その結果、異常ともいえるいびつな家族関係が作り出されたのだろう。両親が犯した罪は大きい。次回公判は11月5日に予定されている。 【詳しくはこちら】『「自宅リビングでSMプレイ」「ゾクゾクするね…」《ススキノ首切り》瑠奈被告に取り憑かれた父親の新証言「娘の心が壊れることが怖かった」』
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