20歳で起業、「待てばオトクに買えるECサイト」をつくった理由は?リスポ代表 黍田龍平さんインタビュー
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。 20歳で起業、「待てばオトクに買えるECサイト」をつくった理由は?リスポ代表 黍田龍平さんインタビュー 今回は、積立購入のECサイト「Respo(リスポ)」を手がける黍田龍平さんをインタビュー。消費者にやさしいビジネスにこだわる黍田さんが、リスポに込めた想いとは? そのルーツとヴィジョンに迫ります。
「本当に人を救えているか?」を追求してきた
──まずは、リスポを起業するに至った経緯をお聞かせください。 もともと、我が家は父も祖父も起業家だったこともあり、僕自身も小学生くらいから「社長になりたい」と言っていました。 加えて高校生のころから、友人と教育関連の学生団体を立ち上げて活動していたこともあり、事業をつくる・はじめることに対して、そこまでハードルを感じることなく取り組める土台もできていたんです。 なので、自分にとって起業することは自然なことでした。 もう1つ、僕の中で原点となっている経験が、学生時代の友人との出来事。僕にとって大事な友人だったのですが、いじめに遭い、最後には転校することになってしまいました。そんな友人に対して、自分は何もしてあげられなかった。それからずっと「大切な人を助けたい」という思いが僕の中にあり、ビジネスにおいても原動力になっています。 リスポを立ち上げる前は、「メンタルヘルスをチェックできる」事業を立ち上げ、出資の意思決定もいただいたのですが、3カ月で撤退を決めました。それも、自分の中にある「本当に救いたい人を救えているのか?」という疑問に答えられなかったからです。 その後、スタートアップ企業に入社。そこではBizDev (事業開発)から営業まで本当に何でもやりました。投資家の方と話す機会もあり、働くことや起業家のあり方について、解像度が高まったと思います。そこでの修業したのちに、20歳でリスポを起業しました。 ──数あるビジネスの中でも、フィンテック(※)に着手した理由は? これもまた家庭の話になるのですが、父も元々、金融業界で働いており母も銀行員だったので、もともとお金やフィンテックに関心がありました。 大きなきっかけになったのは、大学入学前にギャップイヤー制度を利用して行ったフィリピンでの経験。そこで僕は貧困地域にも足を運んだのですが、そこの人々は経済的に豊かでなくても、幸せそうに暮らしていたのです。彼らの笑顔はまさに「お金が幸福の価値基準ではない」ということに気付かされました。 幸福なお金との関係ってなんだろう? その問いが今の事業にもつながっています。 ※Finance(金融)とTechnology(技術)を結びつけたビジネス分野 ──では、現在の事業内容について教えてください。 我々が運営しているリスポは「少し待つとオトクにお買いものができるECサイト」です。これは毎月一定の金額を積み立てし、積み立てが完了すると商品が届くというサービス。百貨店の「友の会」をイメージしていただくと、わかりやすいと思います。 クレジットカードのあと払いとは逆で、積み立ててから購入するためユーザーにとって過度な負担にならず、高額の商品でも計画的に購入することができるのです。また、金額に応じてキャッシュバックされる機能もあります。 おかげさまでユーザー数、事業者数ともに順調に増えており、現在、月次120%のペースで成長しています。 ──「積立購入」サービスのアイデアはどこから? 実は、リスポで最初に着手した事業は、飲食店で店員さんにデジタルチップを渡せるというものでした。アメリカのチップ文化をDXしようという発想でスタートしたフィンテック事業です。 「お金は感謝を伝える道具だ」という思いからだったのですが、運悪くコロナ禍とタイミングが重なってしまい…。飲食店は軒並み休業に追い込まれてしまったため、事業も撤退となりました。 次の事業を考える必要があったのですが、そこでヒントになったのは、ある友人が直面した問題でした。 サウンドクリエイターの彼は仕事のために色々と機材が必要で、すべて揃えようとすると90万円近く必要だという話に。そう易々と支払える金額ではないですが、今すぐ必要なものなので「貯金してから買う」という選択肢はありません。かなり無理をして購入したため、彼はそれからとても苦労することになりました。 彼のような人を助けられるサービスをつくれないだろうか、そう考えた結果、積立購入というアイデアを思いついたのです。 それから海外の事業などについてリサーチを重ね、事業の方向性を転換しました。 ──リスポというサービスで、消費者の負担と「ものを買うこと」のハードルを下げているわけですね。導入する企業にとってのメリットは? メーカーが自社で金融機能を持つには、法律の問題など乗り越えなければならない課題が多く、かなりの困難がともないます。そこでリスポを導入していただければ、もっと簡単に当社の中に「友の会」のようなものをつくることができるのです。 日本は海外と比較して、金融関連の法律が厳しい。そこで、リスポを通じてイノベーションを起こしていきたいという思いがあります。