取締法改正でどうなる? 日本における良い大麻、悪い大麻を規定「大麻業界」の今とこれから
08年から衣食住におけるヘンプの活用をテーマに、衣類や食品の開発・販売を行なってきた麻福株式会社の北村隆匡(たかまさ)代表は「国としてGX(グリーントランスフォーメーション)を推進していく中、ヘンプの活用がようやく可能となったのは喜ばしい。一方で、諸外国はかなり先行している。日本の行政にはスピード感を持って動いてほしい」と話す。 また、16年という早い時期から日本でCBD事業を展開しているエリクシノール株式会社の松丸誠代表は「引き続き、社会からの理解が深まるようなことをしていく必要があると思います。お客さまに安全な製品を届けられるよう、今後も努めていきたい」と話す。 ■世界に逆行する嗜好大麻の厳罰化 さて、日本文化と産業で利用される大麻は、規制緩和によって「良い大麻」と再定義された。 一方で、マリフアナの喫煙など「嗜好」領域は「悪い大麻」と明確化。使用罪の創設に加えて、5年以下だった単純所持罪の懲役も7年以下と厳罰化され、麻薬及び向精神薬取締法では、THCを「麻薬」と位置づけた。 欧米や東南アジアでは嗜好用大麻の解禁が大きな潮流となっている現在、SNSでは「世界の流れに逆行している」という非難も多く見かける。刑事政策や犯罪学を専門とする立正大学法学部の丸山泰弘教授も、厳罰化の問題点を指摘する。 「大麻が覚醒剤やコカインなどハードドラッグと同じ『麻薬』のカテゴリーになることで、さらなる混乱を招くことになるのではないでしょうか。科学的根拠に基づいた薬物政策をしっかりと検討する必要があると考えています」 大麻の危険性は、コカインはおろかニコチンやアルコールより低いとする研究もある(図表3)。こうした面を踏まえて、日本の薬物政策を注視していく必要があるだろう。 ■「医療大麻」とは何を指すのか? 最後は「医療」分野だ。近年メディアを通じて「医療大麻」という言葉を聞く機会が増えているが、この言葉の意味があまり理解されないまま広まっていると感じるケースは多い。 ひと口に「医療」と言っても、医師が管理して特定の疾病の治療のために処方される「医薬品」と、ウェルネスやセルフケアなど"広義の医療"として、健康増進のために用いる「薬草」に大別されるからだ。