世界のCMOは今、何を考えているのか?――電通グループ「CMO調査レポート2024」を読む
電通グループ(グローバルブランド名:dentsu)は、5回目となるグローバル年次調査レポート「CMO調査レポート2024」を発表した。調査では世界の主要14市場(※)における企業のCMO(最高マーケティング責任者)950人を対象に計45の質問を行い、回答を分析している。本稿では、調査結果から気になるポイントを抜粋して紹介する。 ※14市場の内訳:オーストラリア、ブラジル、中国、カナダ、ドイツ、イタリア、インド、日本、メキシコ、サウジアラビア、スペイン、アラブ首長国連邦、米国、英国。
CMOが考える、ビジネス上の課題を解決する究極の力とは…?
変化の激しい世界では成長が難しく、CMOはコミュニケーションだけでなくビジネスのあらゆる面でクリエイティビティーを必要としている。CMOの81%が「マーケティングにおいてクリエイティビティーがこれまで以上に重要である」と感じており、「クリエイティビティーはビジネスの成長を促し、ビジネス上の課題を解決する究極の力であると考えられている」については89%が賛同し、そのうち57%が強く賛同している。 意外な場所でもクリエイティビティーが求められている。CMOの83%は「CX(顧客体験)変革を推進する上でクリエイティビティーが不可欠」であることを認め、80%は「持続可能性の課題を解決するためのクリエイティブアプローチがビジネスにとって不可欠である」と考えている。また、83%は「クリエイティビティーがビジネスの成長を引き出す可能性がこれまで以上に高まっている」と考えている。特に、食品・飲料(88%)、パーソナルケアおよびハウスホールドケア(97%)、製薬(85%)のマーケターはより一層そう考える傾向がある。
ブランドは単なる広告ではなく「カルチャー」の一部に
CMOの88%が「ブランドが生活者のカルチャーの一部になることがこれまで以上に重要」と考え、78%は「エンターテインメントプロパティ(資産)を生み出すことがマーケティング戦略にとって重要」と認めている。 その結果、ブランドは新しい形でエンターテインメントとカルチャーに投資するようになった。31%がNetflixなどのエンターテインメントプラットフォームとIP(知的財産権)に、29%がテレビ番組に、18%が音楽制作に投資している。 しかし一方で74%は「自社ブランドとカルチャーをどのように結びつければいいのかが分からない」と答えている。 カルチャーインパクトを生み出すための手法として広く採用されているのがインフルエンサーパートナーシップとユーザー生成コンテンツだ。エンターテインメントプラットフォームもまた、興味や投資対象として浮上してきている。ポッドキャスティングも、ブランドエンゲージメントや信頼性、信憑性を構築する人気の方法だ。Spotifyのデータ(外部リンク)によると、ポッドキャストのリスナーの54%が「他で目にする広告よりも効果的だ」と感じており、52%が広告を信頼している。