世界のCMOは今、何を考えているのか?――電通グループ「CMO調査レポート2024」を読む
「AIがマーケターの仕事を奪う」派の現在のすう勢
「独自性の高いブランドアイデアの創造には人間ならではの技巧が決定的に重要である」と考える人は79%と、依然として多数派を占める。しかし、AIが人間の想像力に真に太刀打ちできないと確信している人の数は著しく減少した。前年調査で「生成AIが人間の想像力に取って代わることはないだろう」とした回答者は75%だったが、2024年は10ポイント減の65%になった。また、2023年の調査ではCMOの3分の2以上(67%)が「生成AIは人々を感動させる広告を作ることができない」と考えていたが、同じ回答をした人の割合は2024年には前年比で18ポイント減少し、半分以下(49%)にまで下がった。 CMOはAIを人間の創造性を脅かす存在としてではなく、協力者や共同クリエイターとして評価するようになっている。77%が「自分たちのブランドのトーンやスタイルを学習させたAIに興味がある」と回答している。「AIに仕事を奪われるかもしれない」と感じるCMOの割合は、2023年の57%から2024年は46%と、10ポイント以上減少した。
イノベーションへの投資意向が過去最高 なぜ?
成長に対する考え方は企業・ブランドが置かれた環境によって大きく異なるものの、全体としてはCMOの85%が「競争の激化と市場の飽和」が自社ビジネスにとっての課題と考え、83%が「景気減速下での成長」を重要な課題として挙げている。 その結果か「イノベーションへの投資」が重要な優先事項となっている。79%が「予算の10%以上をイノベーションに投資する」としており、「21~30%をイノベーションに投資する」とした人は、過去最も高い割合(28%)になった。 イノベーションの支援を期待するテクノロジーについては、CMOの41%が「体験のパーソナライゼーションやコンテンツのカスタマイズのためにAI・機械学習の導入」を計画しており、49%はバーチャル試着のような「没入型体験の探求」を、46%は「ゲーミフィケーション技術の導入」を、40%は透明性とトレーサビリティーを確保するために「ブロックチェーン技術の導入」をそれぞれ計画している。