道路の冠水へ「ザッバーン」実は死への一直線!? 多発する死亡事故 「ドア開かない」「エンジン止まった」水圧はどれだけ恐ろしいのか
JAFの実験で驚きの結果が
実際、どれくらい冠水していると、どんな挙動になるのでしょうか。 JAFが2010年に実験したところ、SUVタイプは水深30cmでは走り切ることができました。しかし60cmになると、ゆっくりなら何とか走り切れましたが、スピードが30km/hの場合、水がエンジン内に入り込み、エンジンが止まってしまいました。 車高の低いセダンの場合は、水深30cmでも、スピードが速いとエンジンルームへ浸水。水深60cmになると水はフロントガラスまで到達し、当然エンジンは冠水して、ストップしてしまいました。 さて、エンジンが止まれば、冠水部から脱出できません。このままでは水位があがって水没してしまいます。でしかし、いざ車外に出ようとしても、今度は水圧でドアが開かなくなってしまうのです。 JAFが2014年に実験したところ、セダンは水がかかる水深60cm以上で、全く開けられませんでした。 なおこれは後輪が浮いている状態で、車内まで水が入り込んでいない状態。「車内外の水圧差が大きい」ことで、ドアが水側から押さえつけられているのです。水圧のせいで「通常の5倍」の力で押さないとドアが開かないことがわかりました。 逆に「完全水没」、つまり車内にも外と同じくらい水が入り込んでしまった場合、逆にドアを開けやすくなるようです。水の中でドアを動かす抵抗くらいで、水深120cmでも「すぐに開けられた」という実験結果になりました。 スライドドアのミニバンも同様で、完全水没なら、1分近い時間をかけてなんとか開けられましたが、車内に水が入り込んでいない状況では、外から水圧でドアが圧迫されて、スライド不可能になってしまうという結果でした。 愛知県の注意喚起では、もっと危機的な状況になると警告しています。水深30cmでは「車が動かなくなります」、水深50cmでは「ドアが開かなくなります」、そして水深100cmになると「車が浮いて流されます」とのこと。こうなるともはや制御不能です。 では、実際に冠水でスタックや水没が起きた場合、どうすればいいのでしょうか。 JAFは「脱出用ハンマーを車内の手に届くところに常備しておくことが大切」としています。窓を割って、そこから脱出するしかないというわけです。 なお、脱出用ハンマーはそれ用に特化して作られたもので、新車ディーラーやカー用品店などで販売されています。2014年の実験では、「スマホ」「クルマのキー」などでは、とてもガラスを割ることはできませんでした。 とはいえ、一番大事なのは「そもそも荒天時に出歩くな」ということ。そのためにテレビやインターネットなどで、「不要不急の外出はおやめください」と警告が発せられています。また、急な雨による冠水を避けるため、国や自治体で「道路冠水注意マップ」などが公開されているため、事前にチェックしておきましょう。
くるまのニュース編集部