80代の母死去、遺産総額4,100万円…「相続税ナシ」のはずが、納付期限直前〈税務署からのお尋ね〉が届いた驚きの理由
税務署からのご案内の通知…なぜ届く? どういう内容?
では、税務署からの「相続税の申告等についてのご案内」は、どのような理由で届き、どのような内容となっているのでしょうか。 ◆相続発生後、6~8ヵ月頃に送られてくる 相続発生後、6~8ヵ月過ぎた頃に、税務署から封書で送られてきます。 封筒には「相続税の申告要否検討表」という用紙が入っており、これに必要事項を書いて税務署に返送します。 場合によっては「相続税の確定申告書」が入っていることもあります。ちなみに鈴木さんの場合は、「相続税の確定申告書」の用紙が入っていました。 ◆相続税の申告を促す目的で送られて来る 税務署から送られる「相続税の申告等についてのご案内」は、亡くなった人の財産の内容を確認して、相続税の申告を促す目的があるとされています。 人が亡くなったときは市区町村役場に死亡届を提出しますので、この情報は税務署にも通知されます(相続税法58条)。 よって、税務署は、この情報をもとに、亡くなった人について過去の確定申告書や固定資産課税台帳、さらに保険会社から提出される保険金の支払調書などから財産がどれぐらいあるかを調べます。 その結果、亡くなった人の全員に通知を出すのではなく、一定以上の財産があると見込まれる場合に「ご案内」が送られます。 ◆過去に確定申告をしていた場合、送られてくることが多い 一定の収入があり、毎年の確定申告をしているような場合は、税務署も不動産や金融資産などの財産の内容を把握していることから、相続税がかかる財産だと認識しています。 鈴木さんの父親は定年退職後、これまでのキャリアで身につけた技術を生かして自営業を営み、確定申告をしていました。仕事場は自宅の1階の一部分で、父親が亡くなったあとは類似の仕事を営む人に賃貸し、母親は家賃収入を得ていました。そのため、母親もずっと確定申告をしてきたのです。
基礎控除内でも税務署への申告は可能
母親の財産は預金400万円、生命保険は非課税枠内の500万円です。基礎控除は4,200万円ですので、不動産評価が3,800万円を超える場合は相続税の申告が必要となります。 鈴木さんと弟との間では、遺産分割について、自宅は鈴木さんが相続し、預金と保険は2人で等分にするということで合意ができているといいます。 筆者の事務所の提携先の税理士に諸々の財産目録を作成してもらったところ、不動産評価は不整形などを考慮し、預金や金融資産をプラス、葬儀費用などをマイナスとして差し引くと、最終的に4,100万円の財産となりました。 これで基礎控除内であることが確認でき、相続税の申告も不要となりました。 しかし、鈴木さんは税務署から問い合わせが来たことを不安視しており、念のため相続税の申告書を作成して税務署に提出することを希望したため、それらも含めて税理士に引き受けてもらうことになりました。 この対応によって「ご案内」にあった質問に回答したこととなり、相続税の納税は不要であることの証明になるのです。
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