「僕がマリノスを離れたらタイトルを獲り、帰ってきたら...」飯倉大樹が自虐的な発言も、不屈の守護神が踏ん張ったからこそ、横浜の今があるはずだ【コラム】
「めちゃきついんだ、本当に」
リスキーな戦い方ではあったが、飯倉はむしろ歓迎していた。やる気に満ちていた。 「今の自分のプレースタイルがもっと確立できれば、『GK+10人』ではなく、“11人でサッカーができる”。ボランチが落ちてきたりして、後ろに人数をかけるよりも、前に人数をかけた攻撃的なサッカーになる」 アタッキング・フットボールの可能性を、誰よりも強く信じていた。ただ、前に出れば、自陣ゴール前はガラ空きになる。当然、相手もそこを狙ってくる。横浜のGKは前に出てくる――ロングシュートで被弾。一度や二度ではなかった。 「きついよ、めちゃきつい。めちゃきついんだ、本当に。超きつかった」 いつの日か、飯倉が思わずこぼした。それでも、ひるまなかった。自分がブレれば、チームがブレる。強い責任感があった。 「ボス(ポステコグルー)が勝つためのポリシーをずっと持ってやっている。俺たちにもそのポリシーというか、曲げちゃいけないものがある。気持ちとか、プライドとかね」 もちろん、信念を貫いて戦っていたのは飯倉だけではない。相手に“ロックオン”されても、中盤の底でビルドアップの起点になろうと、ビビらずにパスを受けようとしていた喜田拓也もその1人だろう。 18年のリーグ戦は12位でフィニッシュ。残留争いに巻き込まれた苦しいシーズンだったが、アタッキング・フットボールの礎が築かれた1年であり、飯倉は全34試合でゴールマウスを守り抜いた。 不屈の男は、横浜でのタイトル奪取を切望する。レギュラーが確約されているわけではないが、その生き様がチームを力強く支えるはずだ。 文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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