さらば通勤ラッシュ?「時差Biz」キャンペーンの意味とは
東京都が企業や鉄道会社とともに取り組む通勤ラッシュ緩和キャンペーン「時差Biz(ビズ)」。昨年の都知事選で「満員電車ゼロ」を公約に掲げた小池百合子知事が提唱する政策だ。働き方改革が声高に叫ばれる中、この2週間のキャンペーンの意味は何なのか。 【写真】働き方改革への取り組みはなぜか集団行動、これって本末転倒?
各企業で時差通勤やテレワーク展開
時差ビズは11日から25日までの間、キャンペーンに参加する企業や団体が、時差通勤やフレックスタイム制、テレワークの導入などを通じて、通勤時間帯の混雑を緩和する取り組み。小池知事が環境相時代に始め、定着させた「クールビズ」にちなんで名付けられた。 キャンペーン立ち上げの4月の協議会で、小池知事は「みんな満員電車を当たり前だと思っている。そこはちょっと意識改革。日本の国民が、都民が快適に仕事をして、生産性を上げて、家族と共に楽しい生活を行っていく、このことをぜひとも実現したい」と働き方改革と絡めて満員電車解消への思いを語り、キャンペーンへの参加を呼びかけた。14日現在で参加企業・団体は約300に達している。 期間中、参加企業・団体は、時差通勤やフレックスタイム制など、通勤時間帯への利用者集中を緩和するさまざまな施策を展開している。 国土交通省の大都市交通センサス調査(2012年度)をもとにした時差Bizサイトのデータによると、東京23区では出社時間が午前8時から9時の間に集中しており、5割以上を占める。時差出勤などで、この時間帯を分散させることが狙いだ。
まずは快適通勤を「体験して」
参加企業の一つ、損害保険ジャパン日本興亜では、この機会に時差通勤制度の利用拡大を推進。同社広報部によると、実際に勤務開始を午前9時から同8時に早めたCSR室の30代女性社員は「出勤時間が早いと人が少なく、仕事に集中できる」と歓迎している。
キャンペーンには鉄道会社も参加している。東京急行電鉄は、普段は特急列車が走っていない田園都市線で、午前6時04分発の中央林間発押上行き臨時特急「時差Bizライナー」を平日1便運行。午前8時台に渋谷到着の準急と比べ、長津田~渋谷間の所要時間が約13分短いという。京王電鉄も時差通勤を行ったポイントサービス会員に特別ポイントを与えるなど、鉄道会社も各企業の取り組みを後押しする。 キャンペーンを担当する都の交通企画課でも、期間中に約4割の職員が時差通勤に取り組む。谷崎馨一(けいいち)課長もその1人で、午前7時台に乗っていた通勤電車の時間を同6時台に早めた結果、「電車が空いていて席に座れた。うとうとできるし、とても楽」と話した。 都によると、今回のキャンペーンは、あくまでも時差通勤をした人に快適通勤を体験してもらうのが主な目的。当然ながら「今回の約2週間の取り組みだけで、ピーク時間帯の混雑を劇的に改善するのは難しい」という認識だ。