さらば通勤ラッシュ?「時差Biz」キャンペーンの意味とは
満員電車は本当に解消できるのか?
クールビズのように、時差ビズが定着し、満員電車をゼロにするためには何が必要か。交通コンサルティング会社「ライトレール」の阿部等社長は「ピーク時間帯の利用を分散、減少させる『需要側』(通勤客ら)の取り組みとともに、ラッシュ時の運行本数を増やすなど輸送力を増強する『供給側』(鉄道会社)の取り組みも進めることで、満員電車は解消できる」と話す。 満員電車の「見える化」推進も有効と訴える。アプリなどで電車の混み具合が事前に確認できれば、利用者は比較的空いている電車を選択できるため、混雑の緩和効果が期待できるという。「すでに“JR東日本アプリ”で実用化済み。一定のコスト投入により全路線で導入可能」だと指摘した。 今回の快適通勤キャンペーンは25日に終了する。小池知事は21日の定例会見で「意識改革のきっかけとして、良いスタートになったのではないか」と手応えを口にし、「今回は期限を切ったが、時差Bizは基本的に1年中やるものだと思う」と、通年での取り組みに期待した。 都では8~9月をめどに参加企業・団体に対し、時差通勤の体験に関するアンケート調査を行い、今秋に結果をまとめる予定。今後も時差ビズに加え、テレワークの推進にも取り組み、働き方改革を進めていく。小池知事は意義を語る。「いろいろな方法があるが、とにかく皆さんを満員電車から解放して生産性を上げる。会社に行くだけでへとへとになるというのは、高度成長時代の昔の話にしていきたい」。 (取材・文:具志堅浩二) 《取材協力》阿部等(あべ・ひとし) 1961年生まれ。東京大学工学部都市工学科大学院修士修了。1988年、JR東日本に第1期生として入社、鉄道の実務と研究開発に17年間従事した。2005年に株式会社ライトレールを創業し、代表取締役社長に就任。交通や鉄道に関わるコンサルティング・研究開発に従事する。著書「満員電車がなくなる日 改訂版」(戎光祥出版)は小池百合子都知事の公約「満員電車ゼロ」の元ネタになった