BTS JIMIN「Who」が世界規模で愛される理由とは? 作品に滲む成長と努力を惜しまない姿勢を紐解く
「一番人間味のある人」RMが語ったJIMINが愛される理由
考えてみれば、BTSとしてのキャリアは10年を数えるが、ソロアーティストとしては歩みだしたばかりなのだ。BTSのメンバーがその豊かな才能を発揮しているから、当たり前のようにソロとしての活躍も見届けてきた。だが、どんなにスキルがある人でも、これまでと環境が変われば思うように力を発揮できないこともある。 思い描いていた自分になれない歯がゆさを抱いたのは、他でもないJIMIN本人だったのではないだろうか。同時に、そうして一つひとつしっかり課題を受け止めて、成長していくのがJIMINという人であることを思い出した。 練習生時代には「練習の虫」と呼ばれていたこともあったJIMIN。BTSとして脚光を浴びるようになっても、うまくできなかったときにはちゃんと落ち込み、次に何ができるかを考えて実行してきた。 そんなJIMINを長年見つめてきたRMが、改めて「JIMINさんが愛らしい理由は、自分自身を保つ強い面を持ちながらも、自分の欠点や弱い面も併せ持っている一番人間味のある人だと思います」と語っていたのが印象的だった。 さらにRMは、JIMINに向かって「昔、僕たちが『'피 땀 눈물 (Blood Sweat & Tears)』ですごく人気が出だしたころ。あの頃のJIMINさんのパワーを忘れないでほしいんだ」と話しかける。その言葉にJIMINも「僕のカラーをはっきりと出した時期だった」と手応えを感じていたことを思い出したようだ。その上で「また成長するために向き合う時がきたんです」とも。
表現したのは、漠然と感じていた“虚しさ”
「ひと皮むけた」と言わずにいられないほど、グッと成長したことが傍目からわかる人がいる。まさに今回JIMINの「Who」に、そんな変化を感じた。それと同時に、これだけ世界規模で愛されるのは、作品からにじみ出るJIMINの気概と成長を感じ取ったからではないか。 YouTubeに公開されたMV撮影のビハインド映像を見ても、JIMINがアイデアを出し、細かな修正を重ねて臨む姿が映し出されていた。その一つひとつの小さな取り組みが、気がつけば大きな進化へと繋がっていったのだろう。 さらに興味深かったのが、この『MUSE』を制作するにあたってJIMINが話した「ワクワクをしばらく感じていなかった」という言葉だった。そして「その当時感じていた感情をそのまま落とし込もうと努力した」というのだ。 BTSとしてのグループ活動がしばらくなくなったことを思えば、そうした思いになるのも納得。だが、JIMINいわく周囲の友だちと会ったときにも「みんな同じような感じ」だと話していたというのだ。 単調な日々に感じる、ある種の“虚しさ”のようなもの。だが、それは悲しみや怖さとも違う。かといって楽しいというものでもない。そうしたはっきりとは言葉にしきれない漠然としたものを表現しようというエネルギーこそ、音楽やダンスの原点なのかもしれない。 JIMINの直面した転換点と、多くの人が感じている感情が共振しているとも言える「Who」。「今から始めてどこまで上達できるのかも気になるし」と語るJIMINに、これほどの世界的ヒット作が彼にとってはまだまだ通過点かもしれないと思うと、その可能性の広がりに嬉しくなる。次は、どうやって表現力を磨き上げ、私たちを驚かせてくれるのだろうか。その成長ストーリーが楽しみでしかたない。
佐藤結衣