『SILENT HILL 2』裏世界より恐ろしい病院の闇―日本語で読めない英文からさらなる深読み【ゲームで英語漬け#150】
特に説明が無かったのですが、裏世界のギミックで車椅子のマネキンに行う行為は、禁忌の手術とされる「経眼窩ロボトミー」を模しています。眼窩から長い針を差し込み、木槌で押し込んでから前頭葉を切ることで、精神疾患を改善すると謳われていました。
しかし実際は重篤な脳機能の損傷を起こしたに過ぎず、非人道的であるとして1970年代にはほぼ実施されなくなっています。ブルックヘイブン病院でいつの時代に行われていたかは定かではありませんが、批判が出た後にも継続していたとしたら、あれほどの裏世界が生じるのも無理はありません。ヒポクラテスの誓いの最後にはこう書かれています。
Now if I carry out this oath, and break it not, may I gain for ever reputation among all men for my life and for my art; but if I break it and forswear myself, may the opposite befall me.
この誓いを守る限り、私は人生と技術においてあらゆる人々の尊敬を得るだろう。しかしもしも誓いを破り、自ら背いたならば、その反対が降りかかるであろう。
果たして、サイレントヒルの異変は誓いに背いた罰なのか?その答えは神のみぞ知る。
Game*Spark Skollfang
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