ドクター・中松氏が都知事選立候補を正式表明、14年12月の衆院選以来9年半ぶりの出馬
発明家のドクター・中松氏(本名・中松義郎=95)が13日、東京都庁で会見を開き、20日告示の東京都知事選(7月7日投開票)に立候補すると正式に表明した。1991年(平3)を皮切りに都知事選7回、衆院選3回、参院選6回の計16回、立候補してきたが、14年12月の衆院選以来9年半ぶりの出馬となる。「昨今の政治家のお金の問題は、国民は税金を払っているのに、裏金と称し、政治家の特権と言わんばかりにふらちな行為が横行している。国民の1人して私も憤慨している。不良政治家から清貧、能力のある人に切り替えるのが今回の選挙。区切りを付ける選挙」と訴えた。 中松氏はこの10年、選挙が行われる度に出馬が取りざたされてきたが、出馬せず発明に専念してきた。コロナ禍が日本に押し寄せた20年2月には、10年代に新型インフルエンザが世界的に感染が拡大した頃から研究を進めてきた知見を生かし、目から感染することを防ぐために透明板で顔全体を覆う「ドクター中松スーパーメSUPER M.E.N.」を発表。その時点で目からの感染を防ぐことまで想定したマスクははなく、その後、形や機能を模倣した商品が複数出て、フェイスシールドとして広がった。 その中、23年11月に浮上した自民党の裏金問題に「今の政治家は一体、何をやっているんだという思いがある」と疑問が湧いた。政治資金規正法の改正案が“ザル法”との批判も渦巻いており「国民の税金を個人のために使う。違うんじゃないか?」と憤りを感じた。国政への不信が高まる中、迎える都知事選に立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が無所属での出馬を表明。小池百合子都知事(71)の出馬も有力視されていた6月上旬、中松氏は出馬の意思を固めた。小池氏が7日の定例記者会見で、低所得世帯に1万円分の商品券や電子ポイントを支給すると発表。約227億円もの予算をかける物価高対策だが、都知事選を見据えた“バラマキ”との批判もあることに、怒りも覚えている。 前日12日には、小池氏が都議会本会議で、3選出馬を表明。蓮舫氏も立憲民主党に離党届を提出した。 26日の誕生日で96歳を迎える中での出馬自体、極めて異例だが、中松氏は生まれてから1世紀近く暮らしてきた東京の再生を胸に環境改善、雇用創出などのプランを訴える構えだ。 ◆ドクター・中松(なかまつ)1928年(昭3)6月26日、東京生まれ。東大卒。三井物産入社後、29歳で独立。5歳で最初の発明。灯油ポンプやフロッピーディスクなど、発明数は3904件で発明王エジソンの3倍超だという。2005年には、34年間も自分の食事を撮影し、体への影響を分析したことが独創的と評価され、「イグ・ノーベル賞」を受賞した。