皇后雅子さま 英女王国葬の訪英でお召しだった「吊るし」の喪服 皇室がファストファッションにプチプラ服、上質な「既製服」を選ぶ理由
天皇、皇后両陛下は22日から8日間の日程で、国賓として英国を公式訪問する。歓迎行事をはじめ、チャールズ国王が主催する晩餐会などにも出席する予定だが、両陛下の海外訪問となると注目を集めるのが、その衣装。これまでに海外を訪問した皇后や皇族の装いといえば、オーダーメイドによる仕立て服が基本だったが、2年前の英国訪問で雅子さまがお召しの喪服は、上質な既製服(プレタポルテ)だった。令和に入り、皇室の装いにも変化が現れている。 【写真】「GU」ワンピ姿の愛子さまと佳子さまの「プチプラ服」はこちら! * * * おふたりが2022年に英国の地を踏んだのは、ロンドン・ウェストミンスター寺院で執り行われたエリザベス女王の葬儀のためだった。 皇后や女性皇族の海外訪問では、その装いにも注目が集まる。 参列した皇后雅子さまのブラック・フォーマル(喪服)と漆黒の宝石「ジェット」は、その品の良さで評判となった。 すこし前までは、海外訪問時の皇后の装いといえば、専属デザイナーによる仕立ての服が基本だった。 しかし、政府専用機で英国に到着してからロンドン市内のホテルに到着する間、雅子さまがブラック・フォーマルとしてお召しだったのは既製品の服、いわゆる「吊るし」のジャケットだった。 ■「量産品」だった皇后の喪服 雅子さまのブラック・フォーマルのジャケットを手掛けたのは、東京・中野区に縫製工場を持つ「辻洋装店」。1947年に個人のオーダーメイドの洋装店として創業し、現在はパートやアルバイトを含め30名ほどの従業員が働いている。 代表取締役の辻吉樹さんによると、雅子さまがお召しだったのは、日本を代表するデザイナーである故・芦田淳氏が創業したブランド「JUN ASHIDA」から量産品として依頼を受けたジャケットのうちの一着。「JUN ASHIDA」がブラック・フォーマルとして長年販売している定番のジャケットだという。
ひと口に「黒」と言っても、白や赤、黄色味の混じった黒など、さまざまな種類がある。 雅子さまがお召しのジャケットは、光に当たっても白光りなどせず、漆黒の色味が美しい一着なのだという。 「私どもも皇后さまが英国で着用いただいているとは存じませんでしたので、関係者を通じて教えていただき、驚きました」(辻さん) 創業者の芦田淳氏は、かつて上皇后美智子さまが皇太子妃であった時期に専属デザイナーを務め、1993年の天皇陛下と雅子さまのご結婚の際の関連儀式、「饗宴の儀」のドレスも数着手掛けている。 同ブランドの検査基準は厳しく、量産のプレタポルテ(既製服)といえども、すこしでも気を抜くと返品されてしまうほどだったと、辻さんは振り返る。 ■皇太子妃時代から既製服も愛用 ロイヤルの国葬への参列は、皇室の大切な公務のひとつだが、日程は急に決まることが多いため、皇室周辺は相当にあわただしいスケジュールとなる。 2022年9月8日に死去したエリザベス女王の場合も、両陛下は17日に訪英し、19日の国葬に参列するという強行スケジュールだった。 そのときに、雅子さまがお召しだったのが、辻洋装店が手掛けた「吊るし」のジャケットだった。 かつて、皇室に仕えた人物はこう話す。 「こうした急な海外訪問では、当然仕立ての衣装の準備も間に合わない。もともと皇后雅子さまは、皇太子妃時代から体調の問題もあり、プライベートでは既製服もよくお召しでした。質が良く値段も手ごろで着心地がいいという合理性があるならば、海外訪問時であってもすべてが高価なオートクチュールでなくとも構わない、というお考えなのでしょう」 思い返せば、昨夏のご静養時では、長女の愛子さまもファストファッション「GU」のワンピースをお召しだった。