第一生命HD社長、30年債2%付近で購入加速へ-外債投資は難局面に
(ブルームバーグ): 第一生命ホールディングス(HD)の菊田徹也社長は、傘下の第一生命保険における資産運用方針について、主な投資先の一つである30年国債の利回りが2%に近づけば「円建ての超長期債へのシフトを進めていく」として、購入を加速する考えを示した。
ブルームバーグとのインタビューで述べた。4月に入ってドル高・円安が一層進行したことから日本銀行の早期の追加利上げ観測が高まり、新発30年債利回りは一時1.935%まで上昇した。ただ、菊田氏は今後の賃上げ動向や企業決算の内容が確認できるまで一段の金利上昇は見込みにくいとして、現在はまだ「待ちの姿勢」と述べた。
日本銀行のマイナス金利政策下で運用に苦しんできた生命保険会社は、同政策解除に伴う国内金利の上昇局面を捉え、投資機会につなげようとしている。
菊田氏は国債投資を積み増すほか、国内株式の削減を加速させ、売却益の一部を金利上昇で含み損の出た債券の入れ替えに充てると説明。一方、外債投資については為替ヘッジコストの高止まりから「非常に難しい局面になる」と指摘。ヘッジを付けない外債についても、為替相場が円高傾向に反転した場合に為替差損を被るリスクがあるため、外債投資は縮小方向だと述べた。
運用収益獲得のため、プライベートクレジットやプライベートエクイティー(PE、未公開株)、不動産などオルタナティブ(代替資産)への投資を強化していく考えも示した。3月にはクレジット事業に強みを持つ米資産運用会社キャニオン・パートナーズ・グループへ出資し、持ち分法適用会社にすると発表。同社への委託も増やしていく方針だ。
4月から開始した3年間の新中期経営計画では3000億円を戦略投資枠として設定。外部採用も含めた10人強で「M&A(企業の合併・買収)部隊」を結成するという。これまでの買収ノウハウを集約し、グループ内での不足部分を補完する効率的な買収実現につなげていく。