進化したタイ名物、排ガスなしアプリで配車 庶民の足、3輪タクシー「トゥクトゥク」
タイの首都バンコクで、名物の三輪タクシー「トゥクトゥク」を進化させた配車サービス「ムーブミ」の需要が高まっている。電動トゥクトゥク700台を導入し、人工知能(AI)を活用したシステムで運行を管理。利用者がアプリで乗車位置と目的地を選ぶと配車される仕組みで、庶民の足として短距離移動に重宝されている。(共同通信=伊藤元輝) 新興企業「アーバン・モビリティ・テック(UMT)」が2017年に開始した。アプリを開くと地図上に商店前やマンションの車寄せなどの乗車可能スポットがずらり。入力を完了すれば運賃が計算され、配車の時間が表示される。利用は1日約2万件に上る。 タイでは従来のトゥクトゥクも人気だが、古い車両の排ガスが問題視されている。料金交渉や目的地の伝達を煩わしく感じる人も多い。 UMTの担当者は「タイのアイコン的存在であるトゥクトゥクの外観を踏襲しながらも電動化で環境に配慮し、最新の配車システムで快適な移動を実現した」と説明。利用登録の2割は外国人で、日本人の駐在員家族にも支持されている。
配車まで5~20分程度で、運転手の現在地も地図上に表示される。待ち切れない場合は無料でキャンセル可能だ。車両に掲示されたQRコードをスマートフォンで読み取って乗り込む。 運賃はアプリ内で自動決済され、10バーツ(約42円)からと良心的。その理由は乗り合い制度にある。6人乗車可能で、同じ方向に向かう配車申し込みがあれば、瞬時にドライバーに指示が出て立ち寄って乗せていく。 バンコクは入り組んだ路地が多く、常夏の暑さの影響で短距離での需要が高い。車両にはドアも窓もなく、風を切って走る心地よさは従来のトゥクトゥクと同じ。女性の利用が6割以上で、密室にならない安心感も人気の理由だという。