ヤマザキマリ 心身のメンテナンスとして湯に浸かっていたのは、どうやら古代ローマ人と日本人だけ。16年を経て再び描く『続テルマエ・ロマエ』に込めた願いとは
◆お風呂と入浴が人類の発展に担った役割とは 巨大な領地を支配した古代ローマの歴史が千年も続いた理由はいくつも挙げられるが、その繁栄には各地での浴場施設の建設や、温泉の開発も大きく関わっている。 温かいお湯に体を包まれることで心身の健康が得られるという効果を体感した人々は、たとえ自分たちが侵略された立場であろうと、入浴というローマの文明を受け入れないわけにはいかなかったはずである。 『続テルマエ・ロマエ』は、東西南北に存在する日本のさまざまな温泉に、還暦間近となった主人公ルシウスが古代ローマの平和という使命を背負って現れる設定で描いている。 お風呂と入浴という習慣が人類の発展にどれほど大きな役割を担ってきたのか。 殺伐とした現代の社会情勢が、再びこの漫画を描こうと思い立った理由にもなっているが、あらためて、今を生きる人々に、入浴によって自分の命をねぎらってもらいたいという願いも、もちろん込められているのだった。 (撮影=ヤマザキマリ)
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