民間人4人を乗せた「ポラリス・ドーン」ミッション、スペースXが挑む初の商業船外活動
破られる複数の記録
この間に宇宙船は地球のヴァン・アレン放射線帯に突入する。太陽や宇宙線からのエネルギー粒子を閉じ込めたこの空間は、放射線に満ちている。 2日目には軌道のサイズを縮小して地球からの最大距離は約435マイルに戻り、3日目に民間初の船外活動(EVA)を実施する。完全に船外に出るのはアイザックマンとギリスのみだが、同宇宙船にはエアロックがないことから、4人全員が宇宙服を着て宇宙の真空にさらされる。船外活動は約2時間の予定で、スペースXの新しいEVA宇宙服の機能をテストする。同時に宇宙の真空状態にいる人数の記録もこれで破られる。 打ち上げ6日後にフロリダ着 打ち上げは当初8月下旬に予定されていたが、天候不良や発射台の技術的問題のため延期された。10日の打ち上げも、悪天候で予定より2時間遅れとなった。 打ち上げの6日後、宇宙船は大気圏に突入し、パラシュートでフロリダ州沖の海上に着水する。この時も気象条件が整う必要がある。 「地上の1万4000人の皆さん、そして応援してくれる皆さんがいなければ、この旅はかなわなかった」。アイザックマンはクルードラゴンが軌道に入ると間もなく、スペースXの管制室にそう語った。「そのことに感謝する。我々はこれから仕事に取り掛かる」
ジェス・トムソン