ボクシング 堤聖也、リング禍が起きた穴口一輝戦以来の試合は世界前哨戦 「今でも毎日考えていますけど、ボクシングに影響とかはない」
プロボクシングのWBA世界バンタム級2位の堤聖也(28)=角海老宝石=が7月7日に東京・両国国技館で、ウィーラワット・ヌーレ(22)=タイ=と56キロ契約10回戦を闘うと13日、興行を主催する志成ジムが発表した。前日本同級王者の堤は昨年12月に同級3位だった穴口一輝さん(享年23、真正)に判定勝ちして以来の試合で、世界前哨戦となる。穴口さんは試合後にリング禍で亡くなった。 堤はこの日、師事する石原雄太トレーナーが所属する東京・練馬区のDANGANジムで開かれた会見に出席し、「今年は次はもう世界戦だと思って練習していたので、別に期間が空いても世界戦をやれば良いと思っていたけど、タイミング的に1回、大きい会場で経験しておくのもいいかなっていうのと、メインイベントがスーパーフライ級の統一戦で、憧れの選手(井岡一翔)と同じリングで闘えるのは光栄なこと」とこの試合を闘うことを決めた。約1週間前に急遽(きゅうきょ)オファーを受けて決定した試合だという。 試合は「LifeTime Boxing Fights22」のセミファイナルで行われ、メインイベントはWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(35)=志成=が、IBF王者のフェルナンド・マルティネス(32)=アルゼンチン=と闘う2団体王座統一戦となる。 昨年12月26日に東京・有明アリーナで行われた日本バンタム級タイトルマッチで、挑戦者だった穴口さんとの激闘の末、計4度のダウンを奪って3-0の10回判定勝ち。4度目の防衛に成功した。穴口さんは退場後に意識を失って東京都内の病院へ救急搬送され、右硬膜下血腫のため開頭手術を受けた。意識が戻ることはなく、2月2日に帰らぬ人となった。 試合後は実家のある熊本市に帰省。穴口さんの地元である大阪・岸和田市内の葬儀場で行われた2月6日の通夜には弔問に訪れ、同7日の葬儀・告別式にも参列した。「今でも毎日(穴口さんのことを)思い出しつつ考えていますけど、別にそれがボクシングに影響とかは僕の中にはないです」と精神的な影響を否定。2018年3月のプロデビュー戦から「ずっと覚悟してボクシングをやっている」と話していたが、改めて「ずっと一緒です。変わんないです。覚悟してリングに上がってっからね。僕は僕のボクシングをやるだけ」と決意を述べた。 興行はインターネットテレビのABEMAで独占無料生配信される。プロ戦績はIBF3位、WBO7位、WBC11位でもある堤が12戦10勝(7KO)2分け、ウィーラワットが5戦4勝(2KO)1敗、穴口さんが7戦6勝(2KO)1敗、井岡が34戦31勝(16KO)2敗1分け、マルティネスが16戦16勝(9KO)。(尾﨑陽介)