「うつ病」の人に表れる特徴はご存じですか? 原因・症状・治療法も医師が解説!
生涯で約15人に1人が発症する「うつ病」ですが、なかには病気に気づいていない人や症状に悩まされていながらも病院を受診していない人がいるようです。うつ病では精神的な症状のほかに、身体的な症状が表れることもあります。一方で、適切な治療を受けることで治る病気でもあります。そこで今回、精神科医の種市摂子先生にうつ病の原因や症状、治療法について解説して頂きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
うつ病の基本を知る
編集部: はじめにうつ病とはどのような病気か教えてください。 種市先生: うつ病は気分障害の一つで、楽しいことにも興味がわかない、疲れやすい、集中できない、眠れないまたは眠りすぎる、食欲がなくなる、自分を責めがちになる、といった様々な症状が見られます。考えるスピードも行動するスピードも遅くなってしまっている状態で、長期間にわたり、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。うつ病は心拍数や消化、呼吸、体温調節など、私たちが意識してしない体の機能をコントロールしている、自律神経のバランスの乱れと関連することが分かっています。 編集部: どのような診断基準でうつ病と診断されるのですか? 種市先生: うつ病の診断基準には、「アメリカ精神医学会」が発行する『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)』や、世界保健機関(WHO)が発行する『国際疾病分類(ICD-10)』が用いられます。診断をするためには、ほぼ毎日2週間以上続く憂鬱な気分や興味の喪失、エネルギー低下、睡眠障害、食欲の変化、集中力低下、自己評価の低下、罪悪感、自殺念慮などの症状が診断基準の項目として含まれ、総合的に判断されます。 編集部: うつ病の原因にはどのようなものがありますか? 種市先生: まず、生物学的な要因では、ストレスに対する耐性が関係しています。ストレスは、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスに影響します。生物学的に、甲状腺ホルモンの変動、出産後、更年期によるホルモンの変化も関係します。 編集部: ほかにはどのような要因が考えられますか? 種市先生: 心理社会的な要因として、生活の大きな変化やストレスが挙げられます。ほかにはトラウマや虐待の経験、家族や職場の問題、社会的な孤立なども関係していますね。さらに、個々の性格特性、例えば、完璧主義や自己批判が強い人、消極的な思考傾向、不規則な生活習慣なども関係していると言われています。これらの要因が組み合わさることで、うつ病の発症に繋がります。