〈ジャパンテント〉地震の爪痕に絶句 留学生が穴水訪問
●ベトナムとシンガポール出身、「みんなに伝えたい」 第37回JAPAN TENT-世界留学生交流・いしかわ2024(同開催委員会主催、北國新聞社特別協力)3日目の24日、ベトナムとシンガポール出身の2人の留学生が能登半島地震で被災した穴水町を訪れた。地震の少ない国に生まれた2人は、発生から8カ月近くたっても残る生々しい爪痕を目の当たりにして絶句。「地震の記憶を風化させないためにも、みんなに伝えたい」と語った。 穴水町明千寺(みょうせんじ)の出身で、ファム・ティ・ビック・ゴックさん(25)=帝京大大学院=と、ペン・ジアシンさん(27)=東大大学院=を受け入れた高直人さん(53)=金沢市=が、ファムさんから「被災地でボランティアをしたかったが事情で行けなかった」との話を聞き、地元の様子を見てもらうことにした。 ●「思った以上の惨状」「怖さが身に染みた」 2人は高さん一家と、のと鉄道穴水駅周辺を巡り、鳥居や灯籠が倒壊した穴水大宮、穴水小運動場に建設された仮設校舎、解体途中の住宅などを見て回った。 2人は高さんの実家も訪ねた。高さんは地震が発生した元日、金沢にいて無事だったが、実家に行くことができたのは2月半ばのことだった。屋内では食器棚の皿やテレビなどが散乱し、庭の石灯籠も倒れていたという。 ファムさんは「映像と実際に見るのでは、被災地の印象が全く違う。思った以上の惨状に驚いた」と話した。ペンさんは「頑丈な石でできた鳥居が粉々になっていて、地震の怖さが身に染みた」と語った。 ●浴衣で近江町市場へ/魚のつかみ取り 「家族」と金沢を満喫 24日は多くの留学生が自由行動となった。金沢市に滞在中の留学生はホストファミリーと市内を散策したり、イベントに参加したりして地域の魅力に触れた。 ゴイ・シンユアンさん(22)=マレーシア出身、長野県立大3年=は、高田一茂さん(31)が働く近江町市場を浴衣で訪れた。生がきを初めて味わい、「おいしかった」と笑顔を見せた。パウペリオ・ウイリアンさん(25)=ブラジル出身、文化外国語専門学校1年=は、橋谷那津代さん(38)の家族と共に木曳野小で魚のつかみ取りに挑戦。「日本の夏の新たな一面を知ることができた」と喜んだ。 最終日の25日は金沢東急ホテルで意見交換や「さよならセレモニー」が行われる。