“美しすぎる柔道家”に敗れ女子48キロ級銀メダルの渡名喜は東京五輪でリベンジを果たせるのか?
試合後、優勝会見に出た美人柔道家は、対渡名喜に何をしてきたか?と問われ、「ゴールは常に変わらず勝つということ、特別なことはしてない、1年ぶりの対戦となるが、彼女は鋭く強い柔道家。熾烈な試合になったと思う」と答えた。 そして「通常の試合より強いプレッシャーは感じた。それは力になりいい結果になった。渡名喜は、勝つのは難しい相手、勝てて自信になった」と続けた。 世界選手権のメダリストの柔道家の父を持つ怖さを知らない18歳の女王に渡名喜は確かに畏怖を与えていた。 ちなみに、この会見では、海外のジャーナリストが、「この試合はまるで虎vsライオンに見えた。あなた自身を動物に例えると?」とユニークな質問をしていて「巷では、私の足技が人を巻き込むみたいなのでアナコンダと言われている。常にアグレッシブに勝つことだけを考えているわ」という回答があった。 しかし、渡名喜は、大蛇に睨まれたカエルではなく、勇猛に対抗するマングースのようだった。 東京五輪まであと1年。 増地監督は、「後半に勝負できるように準備させていきたい。来年が楽しみになってきた」と、東京五輪でビロディドに“5度目の正直”を果たすための手ごたえを感じ取っていた。 渡名喜は、手ごたえを感じたか?という質問に対し、しばし熟考した。 「前へ前へ出たところはよかったが、理想的な試合展開ではなかったと思う。差は縮まったと思うが、投げられてしまったのでね。でも何もできなくて負けた去年からやってきたことは出せた」 この試合に懸けていた熱量がわかる。だが、来年の東京五輪の会場となる日本武道館で、“プレ五輪”を体感できたのは、この舞台を目指す柔道家として収穫だった。 「すごく緊張した。海外での試合では、あまり日本人の声が聞こえないが、今日は最初から最後までたくさんの人の声が聞こえた。やっぱり違う。いい経験になった。それもすべて来年五輪に出られたらの話。でも、もう隙を見せないし来年は絶対に負けたくない」 日本の柔道界にとって女子の48キロ級は、女子が正式種目になった1992年のバルセロナ五輪から、YAWARAちゃんこと谷亮子氏が、2度の金メダルを獲得した伝統の階級である。リオ五輪で近藤亜美が銅メダルを獲得したが、金メダルとなるとYAWARAちゃんが、2004年のアテネ五輪で獲得して以来、3大会、遠ざかっている。東京五輪で“花の48キロ級”復活へ。金を争うライバルも決まった。渡名喜が、その決意を固めるため、忘れ得ぬ銀メダルになった。