“美しすぎる柔道家”に敗れ女子48キロ級銀メダルの渡名喜は東京五輪でリベンジを果たせるのか?
柔道の世界選手権が25日、東京・九段下の日本武道館で開幕。女子48キロ級の決勝は昨年と同じく渡名喜風南(24、パーク24)と史上最年少の女王となったダリア・ビロディド(18、ウクライナ)の顔合わせとなったが、渡名喜は技ありを奪われ優勢負けを喫して2大会続けての銀メダルに終わった。だが、「美しすぎる柔道家」と呼ばれる東京五輪での最大のライバルをあと1歩まで追い込んだ成長を全日本女子の増地克之監督は評価。本番まで残り1年、日本伝統の女子48キロ級に光が見えてきた。
身長差24センチを埋める対策
リベンジに燃え1年間練り上げた作戦通りに試合は進んでいた。 「前半はポイントを取られない。後半で勝負、という試合展開を考えていた」(全日本の増地監督) モデル並みの美貌と172センチの長身を誇り「美しすぎる柔道家」と呼ばれるビロディドは、その肉体ゆえ減量が厳しい。その影響で後半のスタミナに問題があると睨んでいたのである。 序盤は激しい組手争い。身長差が24センチ。長い手を生かしたビロディドの釣り手をどう防御するかが課題だった。寝技の攻防では、長い足を首に絡められたが、決して下がらず、残り2分を切って最初の指導はビロディドに行った。 昨年の世界選手権では大内刈りで1本負け。この1年間、打倒・ビロディド研究を重ね、組み際の大内や大外を防ぐために、とにかく前へ出て間合いを詰めてプレッシャーをかけた。 だが、落とし穴が待っていた。 残り1分38秒で「押し出そうと」強引に袖釣りに入ろうとしたときに、足が絡み、そこにビロディドの長い足が伸びてきた。払い腰。背中から倒れた。 「技あり!」 審判の手が上がった。 実は、この技を対ビロディドの秘策として温めていた。 「研究していた。持たれた際に間合いをつめながら、袖釣りに入っていくことを。でも、少し技が不十分だった。足がひっかかって巻き込まれた」(増地監督) そこに小さなミスが出て、美しすぎる柔道家は、牙をむいたのである。 しかし、渡名喜はあきらめない。