『光る君へ』手ごわい三条天皇、政治力を強める彰子、そして孤立する道長…熾烈な主導権争いの行方
■ 「チーム彰子」の結成、“国母”への成長ストーリー 一方の彰子はといえば、自分から敦康親王を引き離そうとする道長に、強い反発を覚えながらも、どうすることもできないでいた。 そんな中、まひろに「仲間をお持ちになったらいかがでございましょう」とアドバイスされ、彰子は父に対抗するべくチームを作ることを決意。早速、異母弟まで含めた弟たちを集めると、こう呼びかけている。 「私は早くに入内したゆえに、そなたらとは縁が薄い。それも寂しいと、このごろつくづく思うようになったゆえ、こうして声をかけた。皆よく集まってくれた。礼を言います」 皆で幼少期の思い出を語り合いながら、彰子は「そなたらが困ったときは、私もできる限りのことをするゆえ。東宮の行く末のために、皆の力を貸してほしい」と話し、父・道長の暴走を止められるのは自分たちだけだとした。 ドラマの冒頭では、父・一条天皇を亡くしたにもかかわらず、敦成親王が無邪気に撫子(ナデシコ)の花を取る様子が描かれると、彰子が実際に残した和歌を口ずさむシーンもあった。 「見るままに 露ぞこぼるる おくれにし 心も知らぬ 撫子の花」 (いとしいわが子の姿を見るにつけても涙の露がこぼれる。後に残されたことも知らないで、撫子の花を手にした愛しい子よ) 彰子は敦成親王をバックアップするべく、本格的に政治への影響力を持つことになりそうだ。 道長を陰に陽にサポートするまひろの姿が見られると思っていただけに、まひろの後押しで彰子が「国母」へと成長していくというストーリーは興味深く感じた。どんどん孤独になっていく道長は、どんな境地にたどり着くのだろうか。 三条天皇が道長に迫られて譲位した後は、道長の孫である敦成親王が後一条(ごいちじょう)天皇として即位。道長は天皇の外戚として摂政に就任するものの、発言権を誇ったのは、「国母」の彰子の方だった。今回の放送は、まさにそんな未来を暗示するかのような重要な回と言えそうだ。