ペットの死に直面し「こんなに辛いなら最初から飼わなければ」と悲しむ飼い主に住職は何を伝えたのか…別れを前にした時<いちばん大切なこと>
◆幽霊になってさまよう 大切な人が悲しんでいる。そうするとどうなるかというと、肉体は滅んでも魂だけでもそばにいようとします。これでは成仏(じょうぶつ)できません。 極端なことをいえば、幽霊になってさまようことになる。これは決して幸せなことではありません。 二度と抱っこすることも、なでることも、ご飯を食べさせることも、散歩することもできない。 「でも悲しませてはいけないから、そばにいなくちゃ」。そんな気持ちをワンちゃんに起こさせてはならないということです。
◆心から感謝する いちばん大切なことは、その子と出会えたことに心から感謝すること。 お葬式では悲しい自分の思いはいったん横に置き、出会えた喜びと感謝の気持ちを「ありがとう」の言葉に乗せてしっかりと手を合わせ、お勤めしましょう。 ワンちゃんたちだって、まだまだ今まで通りに飼い主さんのそばにいたい、甘えたいという気持ちと、みなさんを悲しませないようにそばにいなくてはいけないという2つの未練があります。 この未練を断ち切るために、仏教の伝統的な儀式を、心を込めて勤めるのです。 これはもちろん、人間が亡くなったときもまったく同じ。人間も動物も変わらない、大切な儀式なのです。 迷いのこの世界(娑婆)から旅立つ、言い換えるなら卒業式。区切りをつける重要な節目です。 ※本稿は、『愛犬が最後にくれた「ありがとう」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
小島雅道
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