世の中は不条理だらけ…経済指標は良好なのに株価が下がるのはナゼ?【シニアのためのマネー講座】
【シニアのためのマネー講座】#93 「まる子、ずる~い。私にもお小遣いちょうだ~い!」 【写真】養子先から15億円相続…カスタネット芸人・前田けゑさんは今、スマートなヤリ手実業家 お姉ちゃんが友蔵に向かって訴える。 「お姉ちゃんは、まだ、お年玉が残っているから大丈夫じゃろ。でも、まる子は全部使っちゃったんで、少しあげたんじゃよ」 世の中は何かと不条理だ。お金を使わなかったお姉ちゃんはもらえなくて、使い切ったまる子がもらえる。倹約家が損をし、浪費家が得をする。何かヘンな話である。 こういった理屈に合わないことが、「経済の世界」でもよくある。その典型的な例が、経済指標と株価の関係だ。 「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」 昔、よくいわれた話だが、そういった関係は今でも存在している。アメリカ株が上昇すると、翌日の日本株は上昇し、アメリカ株が下落すると、日本株は下落する。ともにハイテク企業が相場の主役となっており、連想が働きやすいからだ。 でも、米国の経済指標が良いと、ちょっと変なことが起こる。普通、経済指標が良いと株価が上昇する、と思われがちだが、実際にはそうではない。良好な経済指標は金利が高止まりし、企業の業績に悪影響を及ぼす。そうやって米国株が下がってしまうからだ。 当然、日本株もそのあおりを受けて、下落することになる。「経済指標が良いと、株価が下がる?」――ちょっと不思議な話である。 これは「さくら家」の構図とまったく同じ。良ければダメだし、悪ければ良いのである。「ちょっと納得できないな~」 なぜ、そうなってしまったのか。それは途中に「金利」を挟んでいるからだ。 「良い経済指標→金利上昇→株価下落」 「悪い経済指標→金利低下→株価上昇」 そういうロジックが動いているのである。特に最近は「金利」に敏感であり、その“顔色”が重要になってきている。 ■すべての決定権を握るのは… さくら家でいえば、お母さんの“顔色”が重要だということ。間に入って「調整役」を果たしている。 「お姉ちゃんは、まだお金あるんだから我慢しなさい。まる子は無駄遣いするんじゃないよ」 「は~い!」ってな感じだ。 だからシニアの皆さんは、「経済指標がいいから、株価が上がるはずだ」なんて思い込んではいけない。 すべての決定権は「お母さん(金利)」が握っているからである。 (黒岩泰/株式アナリスト)