公開4カ月で全世界に拡大「ルックバック」東京国際映画祭で上映、河合優実と吉田美月喜は感激
6月28日の公開後、作品性の高さから話題を呼び、興行収入(興収)20億円、国内動員100万人を突破した映画「ルックバック」(押山清高監督)が2日、都内で開催中の東京国際映画祭で上映された。同作で声優に初挑戦した河合優実(23)と吉田美月喜(21)は、公開から4カ月がたち、いまだヒットが続き海外でも公開が続く反響を口々に喜んだ。河合は「初めてのバージョンからすばらしいアニメだと感じたし、大きな大きなモチベーションになりました」と押山清高監督(42)に感謝。吉田も「みんなと出会えて良かった」と感激した。 「ルックバック」は「チェンソーマン」や「ファイアパンチ」などで知られる漫画家の藤本タツキ氏(31)が、21年に「少年ジャンプ+」(集英社)で発表した同名の読み切り漫画を劇場アニメ化。庵野秀明監督の09年「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」や、スタジオジブリの10年「借りぐらしのアリエッティ」、13年「風立ちぬ」など、劇場アニメの人気作に主要スタッフとして参加してきた押山監督が監督・脚本・キャラクターデザインを務めた。 河合は、学年新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートから絶賛を受けている小学4年生の藤野、吉田は不登校の同級生・京本を演じた。藤野は、ある日突然先生から、学年新聞に京本の4コマ漫画を掲載したいと告げられ、京本の存在を知り、その画力の高さに驚く。その後、ともに漫画を描き始め、ひたむきな思いを貫く2人の成長を追いながら、ある日起きた、全てを打ち砕く衝撃的な出来事を描いた。胸を突き刺す青春物語が多くの感動を呼んだ。 河合は「本当に、普段の映画と違う反響の返ってき方というか。見に行っている作品の毛色が違う友達とか、間口の違う広がり方がある。海外でも上映されていて、米国の知り合いからも、見たよと」と、大反響を紹介。吉田も「私も、SNSに海外からコメントをいただいたり、父が中国にたまたまいて、見に行ってくれたと聞いて、うれしかったし、海外の方にも口コミで繋がっているのかなと。上から目線かもしれないけれど、日本のアニメの可能性を感じました」と目を丸くした。 押山監督は、2人を起用した理由を聞かれ「想像以上の声をオーディションで感じられた。河合さんはテイクの一言目で、この子、いいなと。『京本のヤツ、私が学校に行っている間、絵の練習をしているんだ』というセリフがあったが、ふてくされたところとか。存在感が出ていた」と河合を評価。吉田については「テープオーディションで、すごく不器用そうな感じに聞こえて、京本の引きこもっているキャラクターにピッタリだなと思い、選びました」と振り返った。 その上で、初めて語るというエピソードを披露。「2人で田んぼの中でケンカした際の掛け合いの声をやったら本当に、藤野は(京本に)しっかりしろよと、京本は京本で頑張ろうとしているよ、という感じが、2人の関係性とピッタリだった」と振り返った。 河合はアフレコを振り返り「声優さんが、どのようにアフレコしているか知らないですけど、一緒にブースに入った。座っている前にマイクがあり、顔は見えないんですけど、後ろ姿から気迫…一生懸命、頑張っている背中に勇気をもらっていた感覚が強いですね」と吉田に感謝。吉田は「優実ちゃんは(アフレコに)先に入っていた。一生懸命というのが、うれしくて…」と吉田の言葉に喜んだ。 その上で「優実ちゃんも、初めてで分からないことがたくさんあったと思うんですけど…引き出しが多いなと」と河合の演技について言及。「(声優に演技を演出する)音響監督や監督から指示されたことに対し、声として出す対応力がすごい。器用そうで…そうでないかも知れないけれど、藤野の余裕を感じ(演じたのは)運命だと思った」とたたえた。 「ルックバック」は、全国約120館という中規模の公開だったが、2週連続で興収1位を記録。公開館数も増え続け興、収20億円(7日時点)を突破する大ヒット作となった。配信大手のAmazonプライムビデオでも、8日から240以上の国や地域で世界独占配信がスタートする。米Amazonの映画、ドラマ製作部門Amazon MGMスタジオが日本のアニメ製作委員会に参加した初めての作品で、日本で劇場公開されたアニメ映画の、プライムビデオでの世界独占配信は、21年「シン・エヴァンゲリオン劇場版」以来となる。 東京国際映画祭では、アニメーション部門に出品された。