ケニアで若者の怒りが爆発 反増税デモの背景「マイクロファイナンスの闇」とは?
求められるのは法整備
マイクロファイナンスには人々に本物のチャンスを与える力がある。金融セクターが未発達のグローバルサウスで個人事業主をサポートするのがマイクロファイナンスのコンセプトであり、政策次第では経済成長の原動力になる。 政府と国際社会は略奪的貸し付けで身動きが取れなくなった人々を保護するために、規制を設ける必要がある。 国内法が功を奏した例もある。アメリカでは45の州と首都ワシントンが反略奪的貸し付け法を導入し、金利に上限を定めた。 国際レベルでは民間の融資が開発目標を損なうのを防ぐため、世界銀行や米国際開発金融公社(DFC)がもっと積極的に動くべきだ。 例えば世界銀行グループの国際金融公社(IFC)はマイクロファイナンスに数十億ドルを拠出してきた。出資先はハイリスクなプロジェクトを支えるマイクロファイナンスだが、そうしたサービスが悪質な融資を行っていないかどうかの確認には一層の努力が求められる。 高利貸しを取り締まる法律は、経済をより持続可能な形で成長させ、より公正で安定した社会を実現するために必要な保護をケニアに与える。 法整備が整わない限り、サミュエルやジュマのような若者は苦境から抜け出せない。彼らは金融業者、つまりは市場に運命を委ねた。政府や国際機関、銀行はそうした人々の信頼にそろそろ行動で応えるベきだろう。 必要なのは貧困層への増税ではなく市民の成功を後押しする公正な環境づくりだ。 From Foreign Policy Magazine
ニナ・バーマン(アリゾナ州立大学教授〔国際文学・文化学〕)