コロナ禍の3年間で私たちの「口」はかなり老化していた…心筋梗塞や脳卒中、認知症。マスク生活でリスクはさらに増す可能性も
厚生労働省が2022年に行った調査によると、歯周病ともいわれる4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、高齢になればなるほど増加していたようです。そのようななか「老化は口の中から始まる」と語るのは栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生と歯科医師の栗原丈徳先生。さらにお二人は、「コロナ禍の3年間で、日本人は口から老化がかなり進んでいる」と言っていて――。 【書影】「食べる力」が身につく方法を内科医と歯科医が解説!『70歳の壁を越える 食べる力』 * * * * * * * ◆「口から老化」とマスク生活 全身の老化よりも早く、口(口腔(こうくう)機能)の老化が始まることは事実であり、学術的な根拠もあります。 そこで私たちは、口から先に老いる現象のことを「口から老化」と呼ぶことにしました。 コロナ禍の3年間で、日本人は口から老化がかなり進んでいると考えられます。そのもっとも大きな要因がマスク生活です。 マスク生活を続けると、口まわりの筋肉が衰える可能性がありますが、そのリスクは今後も続く可能性があります。 厚生労働省(以下、厚労省)は、23年3月13 日から、マスクの着用については「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断が基本」としました(ただし「感染拡大防止対策として、マスクの着用が効果的である場面などについては、マスクの着用を推奨」するとしている)。 しかし、コロナが2類から5類になったといっても、感染する人がいなくなったわけではありません。 とくに重症化リスクが高いといわれる人たちは、外してもよいといわれても、簡単には外せないという気持ちはわかります。 ただマスク生活を続けていると、口から老化を進めたり、体の不調の原因になったりすることは知っておいてよいと思います。
◆マスクをすると口呼吸になりやすい 呼吸は鼻で行うのが基本です。ところがマスクで鼻を覆うと、鼻呼吸がしづらくなります。鼻だけ出してマスクをする人がいるのは、呼吸が苦しいからでしょう。しかし鼻を出したら、感染防止効果はかなり下がります。 一方、きちんと鼻までマスクをしている人は、鼻呼吸では息苦しいので、知らないうちに口呼吸になっている人が多いようです。 人前で口を開けていたら失礼に当たりますが、マスクをしていれば口を開けても相手にはわかりません。そんなこともあり、マスクを着用している人は口呼吸になりがちのようです。 口呼吸の弊害はいろいろありますが、口から老化の観点からいうと、口の中が乾燥しやすいという問題があります。 呼吸のためにしょっちゅう口を開けていると、口の中は乾燥します。すると唾液が正常に分泌されていても、口腔内の粘膜を十分潤すことができなくなり、ドライマウスになってしまうのです。 ドライマウスになると、歯周病のリスクも上がるなど、口から老化がより早くなる可能性があります。 それに加えて、マスク生活をしていると、口まわりの筋肉をあまり使わなくなるため、やはり口から老化の原因になります。
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