フルトン、井上尚弥戦以来の再起戦でカストロにダウンを喫する辛勝 「ブーイングしているやつは黙ってろ」
プロボクシングのWBA米大陸フェザー級王座決定戦が14日(日本時間15日)、米ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われた。前WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(30)=米国=が、昨年7月に4団体世界同級統一王者の井上尚弥(31)=大橋=に8回TKO負けして以来、約1年2カ月ぶりの再起戦で辛勝した。 【写真】井上尚弥(左)に強烈な右ストレートを放つスティーブン・フルトン WBA世界フェザー級7位のカルロス・カストロ(30)=米国=に2-1の10回判定勝ち。5回にダウンを喫するなど大苦戦し、フェザー級転向後初戦で薄氷の勝利を挙げた。 試合はWBA、WBC、WBO世界スーパーミドル級統一王者のサウル・アルバレス(34)=メキシコ=の防衛戦のアンダーカードで行われ、2万人収容の会場はまだガラガラ。序盤は対応にやや苦労したが、3、4回と主導権を握る。5回に近めの距離での闘いを挑んだところ、ワンツーを被弾してあおむけにダウン。クリンチと足を使ってなんとかしのいだ。6回は回復して右フックなどで反撃。8回には左フックからの右ショートを被弾して効かされた。終盤はやや疲れを感じさせたカストロに対して左フックなどを的確に当てた。ジャッジは1人が95-94でカストロを、残り2人は96-93、95-94でフルトンを支持。勝者コールを聞いたフルトンは飛び上がって喜んだ。 勝利者インタビューでは「タフなラウンドの連続だった。コーチに『右に気をつけろ』と言われていたが、右の警戒を怠ったのが良くなかった。この階級でいけそうだ。久々の試合だったけど、勝てて本当に良かった。カストロは良い選手だった。スパーリングはずっとやっていたから、ブランクは大丈夫だった。ちゃんとカムバックした」と語った。会場からはブーイングが飛び、フルトンは「ブーイングしているやつは黙ってろ」と言い放った。 フルトンはプロデビュー戦から21連勝していたが、井上にプロ初黒星を喫してWBO王座3度目、WBC王座2度目の防衛に失敗。井上戦後にマネジャー兼チーフトレーナーを務めていたワヒード・ラヒーム(米国)氏をマネジャーに専念させ、チーフトレーナーにフルトンと同じ米ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のIBF世界ウエルター級王者のジャロン・エニス(27)=米国=の父、ボジー・エニス氏を起用。新体制で再起戦に臨んだ。 カストロは今年5月に東京ドームで井上に6回TKO負けしたルイス・ネリ(メキシコ)と22年5月に対戦し、1-2の10回判定で敗れていた。
プロ戦績はWBA2位、WBC7位、WBO8位のフルトンが23戦22勝(8KO)1敗、WBC5位、WBO13位でもあるカストロが33戦30勝(14KO)3敗となった。(尾﨑陽介)