かがり火に照らされ「薪能」 福井県池田町で能楽祭典
福井県池田町の能楽の祭典「能楽の郷池田 葉月薪能(はづきたきぎのう)」(福井新聞社後援)は8月11日夜、同町稲荷の須波阿須疑(すわあずき)神社で開かれた。かがり火の炎が闇夜に揺らめく幻想的な舞台で、能と狂言の奥深い世界が表現され、観客約700人を魅了した。 境内の舞台脇2カ所にかがり火がたかれる中、人間国宝でシテ方金剛流二十六世宗家の金剛永謹さんと若宗家の長男龍謹さんが能の演目「田村 長床几(ながしょうぎ)」を披露した。 清水寺を参詣した僧が、満開の桜の下で出会った童子から聞いた寺の縁起を巡る物語。春の京都の優雅な風情を醸し出す場面から一転、後半は勇壮な舞を繰り広げ、緩急に富んだ演出が観客を引き込んだ。 狂言の演目「神鳴(かみなり)」では、人間国宝の狂言方大蔵流能楽師の茂山七五三さん、宗彦さん親子による滑稽なやりとりが会場の笑いを誘った。舞台では町主催の全国能面公募展で入賞した能面が使われた。 これに先立つ民俗芸能交流会では、同町に受け継がれる国の重要無形民俗文化財「水海の田楽能舞」、石見神楽(島根県)の神楽団による演舞が披露された。