「高層マンション住みは流産率が高まる」データあるんですか? 論拠の信憑性を医師が解説
2ちゃんねる開設者で元管理人のひろゆき(西村博之)さんが、自身のXで「マンションの階数と流産率の関係」についてコメントし、それが賛否両論を呼び話題になっています。このニュースについて馬場先生に伺いました。 【イラスト解説】「不妊症」になりやすい人の特徴・3つの原因 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
Xで話題になった流産に関する投稿とは?
編集部: Xで話題になった流産に関する投稿について教えてください。 馬場先生: 2ちゃんねる開設者で元管理人のひろゆき(西村博之)さんは、自身のXで「マンションの10階以上に住む女性の流産率は38.9%。6階以上の居住期間が長くなると、流産率は有意に上がります」と投稿し、1994年に発表された資料のリンクも一緒に添付していました。その上で「高層階を選んだ自分達のせいで流産になったと思い込んでしまう人も居るかと。『景色が良い』は、そこまでのリスクと引き換えに手にいれたいモノなん?」と個人的な考えを述べています。さらに「マンションの高層階に住んでる女性の年齢が高いから流産率が高いわけではないです。同年齢帯の比較でも、6階以上に住むと流産率は上がります。ただ、女性が24歳以下だと影響は少ない模様」と補足しています。 また、ひろゆきさんは、流産率との関連について自身の推測として「エレベーターによる頻繁な気圧変化、運動不足、風による日常的な揺れ、共働きによるストレス、換気不足、他者との会話時間不足、長時間の閉鎖空間ストレス」と箇条書きで記載していました。 この投稿に対して、X上では賛否両論の意見が多数コメントされています。
投稿の論拠となった研究内容とは?
編集部: ひろゆきさんが投稿の論拠として添付した論文の内容について教えてください。 馬場先生: ひろゆきさんのXでの投稿にも添付されていましたが、この研究は1994年に東海大学の研究グループが「居住環境の妊婦に及ぼす健康影響について」というタイトルで発表したものです。 1993年9月から横浜市保土ケ谷区・港南区・戸塚区の各保健所管内における4カ月検診を受けた母親を対象に、質問票を記入してもらう調査がおこなわれました。全部で3000通出した調査票のうち、回収できた1605通から有識者や居住期間が1年未満の人を除いた1195人が研究対象となりました。検討項目は、出産状況、居住期間、居住形態、結婚瑕齢、初回妊娠年齢、第1子出生年齢、妊娠確認前後における妊婦の喫煙習慣、飲酒習慣、配偶者の喫煙習慣、外出回数、1人あたりの部屋数とされました。 調査の結果、「居住階の上昇に伴い、流産割合に変化がみられた」とのことで、具体的には一戸建て住宅では8.2%、集合住宅では7.6%となりました。また、集合住宅の1~2階は6.8%、3~5階では5.6%、6~9階は18.8%、10階以上だと38.9%になりました。流産の割合以外の結果を見ると、初回妊娠年齢は居住階の上昇に伴って有意に増加したことが示されました。妊娠確認前後における妊婦の喫煙習慣、飲酒躙、配偶者の喫煙習慣別の流産割合は差がみられませんでしたが、居住形態別の飲酒割合を見ると集合住宅の10階以上に住む人は、一戸建て住宅や集合住宅の1~2階と比べて有意に高い結果が出たとのことです。 研究グループは、この結果を受けて「妊娠確認前の飲酒習慣を週1回以上飲酒群と非飲酒群の2分類して居住形態別に流産割合を見ると、週1回以上飲酒群および非飲酒群ともに集合住宅6階以上が有意に高くなった」としています。