佐々木朗希もメジャー挑戦へ 第1号のイチロー、史上最高額のダルビッシュ…「大型契約」の“ポスティング移籍史”を振り返る
落札額はイチローの約4倍だった“怪物”
イチローの落札額を大幅に更新したのが、2006年オフの松坂大輔である。1999年に西武入団後、最多勝3度、最優秀防御率2度、最多奪三振4度、2001年には沢村賞と文句なしの実績を残した松坂は、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも3勝0敗で日本代表チームの世界一に貢献し、MVPに選ばれていた。 松坂自身も西武が日本一になった04年オフにメジャー移籍を球団に直訴し、「周囲が認める成績を出したら」と条件付きの容認を得たが、その後、会社の赤字経営を建て直すためにも、“チームの顔”松坂は必要不可欠と方針が変わり、2年待つことになった。 そして06年オフ、「松坂は日本球界の宝。彼の夢を実現させてあげたい」(太田秀和球団社長)と晴れて球団の容認を得た“平成の怪物”は「小さいころから思っていた舞台に手が届くところまできた」と喜びをあらわにした。 11月15日、レッドソックスがイチローの約4倍にあたる5111万1111ドル(約60億円)で落札したことが明らかになると、松坂は「(入札申請をした)11月1日にスタートラインに立ったと言ったけど、あのときまだ立ってなかった。今がようやく第一歩」と金額の重みを噛みしめていた。
入札金額の高騰による制度修正も行われた
この松坂の金額を更新したのが、2011年オフのダルビッシュ有である。 日本ハム入団後、7年間で最優秀防御率2度(2年連続)、最多奪三振3度、2007年に最高勝率と沢村賞に輝いたダルビッシュは12月8日、自身のブログに「この度、ダルビッシュ有はポスティングシステムを利用する事を決めました」と綴り、正式にメジャー挑戦を表明。 日本ハムも同日、「極めて苦渋の選択を迫られましたが、最終的にはチームに対する貢献と圧倒的な功績に敬意を表し、日本プロ野球の未来のためにもメジャーリーグで最高の投手になってもらいたいと考え、重大なる決意を持って受諾することといたしました」とメジャー移籍を承認した。 その後、レンジャーズが松坂を59万2300ドル上回る5170万3411ドルで落札し、日本人史上最高額になった。ただし、当時は1ドル約77円と最もドル安が進んだ時期だったため、円換算では約40億円と松坂を下回った。 入札最高額の球団に独占交渉権が与えられていたポスティングは、入札金額の高騰により、12年オフに一度失効。修正会議を経て、13年オフ以降は、上限なしから上限2000万ドルに改められ、2018年オフからは、選手が自由にMLB各球団と交渉し、契約金額によって、譲渡金額も変動する方式に改められた。