“配信者向けカラオケ”登場も「収益化停止」報告寄せられる JASRAC絡みは「運営の判断」権利の難しさ話題
通信カラオケ大手のJOYSOUNDは10月29日にライブ配信や動画投稿者向けの新サービス「カラオケJOYSOUND for STREAMER」をPCゲームプラットフォーム「Steam」上で公開。早速試用する配信者やVTuberが見られたが、一部からは本サービスを使うと収益化できなくなるとの報告が寄せられている。 【画像】グリーンバックでクロマキー透過もできる。本格採点も搭載した「配信者向け」のカラオケサービス(サービスイメージを見る)
「収益化ありで歌枠できる」と話題のカラオケサービス
カラオケJOYSOUND for STREAMERとは、動画配信サイトで活動する配信者を対象としたカラオケサービス。VTuberやライブ配信者の間では「歌枠」と称される歌ってみた配信が人気を博しているが、カラオケ音源を配信内に使用するには配信元や著作者への許諾、使用料支払いといった手続きが必要となる。 企業に所属する活動者のなかには、法人側で一括契約したうえで音源を利用できる場合があるが、個人ではそうした対応が難しい。そこで、エクシングから本格的なカラオケを取り入れた配信が可能となるサービスが3ヶ月1万円で始まった。情報初出時には「動画配信サイトでの収益化でも一部で可能」になるとして大きな注目を集めていた。 しかし、先日同サービスを利用したという配信者(VTuber)が、著作権申し立てにより「配信アーカイブの収益化が停止された」ことを報告し話題に。報告によれば、動画の配信後、「著作権」を理由に動画広告の収益化が停止された模様で、これに異議申し立てを行うと、メールアドレスを通じて「JASRAC(日本音楽著作権協会)によるの著作権申し立ては依然有効」との返答があったという。 ここで注意しておきたいのが、今回のサービスにおける収益化や利用に関するガイドライン。文書では「収益化を保証するものではありません」と前置きしつつ、収益化は「動画サイトの機能を利用した第三者からの自発的な寄付やカンパ(投げ銭)をもらうこと」を想定しており、広告配信ができる保証はないことが伺える。
収益化=投げ銭などを想定か。公式「運営者の判断」
また、同社の「収益化が可能」との文言は「保有するカラオケ原盤にかかる著作隣接権について権利侵害を主張しない」という意ともされており、「投稿した際に著作権侵害の警告を受ける場合がありますが、投稿先のサイト・アプリケーションの運営者の判断となりますので当社では詳細は分かりかねます」と注意をしている状況だった。 ■収益化に関するQ&A抜粋 Q.作成した動画を使って収益を得てもいいですか。 A.個人で作成された動画は、以下の方法で収益化していただくことが可能です。 Proプランで本サービスを契約した上で、動画サイトの機能を利用した第三者からの自発的な寄付やカンパ(投げ銭)をもらうことが可能です。 YouTubeには「Content ID」と呼ばれる著作権管理システムが備えられており、動画内に第三者が制作著作した音楽などのコンテンツが含まれていると、自動で検知する制度になっている。たとえコンテンツが検知されても、YouTubeのガイドライン違反ではないため、侵害ペナルティなどは課せられないものの、場合によっては「収益化剥奪」となり、動画で得られた収益は著作者に還元される。 広義の著作権には著作権本体に加え著作隣接権、著作人格権などの要素が含まれており、弁理士や業界のプロでない限り判断に困るケースも多い。今回利用を検討していた配信者は広告配信ができない可能性もある点に注意する必要があるようだ。
編集部 IT/デジタル担当