日本マラソン界は東京五輪へ向け川内らが惨敗した“ドーハの悲劇”から何を学ぶべきか
ドーハ世界陸上の男子マラソン。日本勢にとって厳しい戦いが待っていた。山岸宏貴(GMOアスリーツ)が2時間16分43秒の25位、川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)が2時間17分59秒の29位、二岡康平(中電工)が2時間19分23秒の37位。MGCとの兼ね合いから、今回の日本代表は通常と異なるかたちとなり下馬評は高くなかった。それでも2年前のロンドン世界陸上で入賞まで3秒差と迫った川内にとっては惨敗といえる結果だった。プロランナーとして迎えた4度目の世界陸上でワースト順位。川内に何が起きていたのか。 スタート時の気温は29.0度、湿度は49%。身体にまとわりつくような不快な湿度はなく、現地で取材をしていて体感的には涼しかった。このコンディションが川内にとってはマイナスに作用した。 「女子マラソンと競歩を見ていて、湿度が高ければ、2時間17~20分が入賞ラインになると思っていたんです。でも、今日は湿度が低かったので前が落ちてこなかった。自分は設定通りに走ったんですけど、作戦ミスでしたね」 女子マラソンの気象条件は気温32.7度、湿度73.3%。男子は川内が想定していたほどの高温多湿の環境にならず、レースは予想以上のハイペースになった。中間点はトップ集団が1時間5分56秒で通過したのに対して、川内は1時間8分22秒(52位)だった。 「当初の予定通り、最初の5kmはウォーミングアップのつもりで行ったので、キロ3分10秒ぐらいのペースに上がったときに、ついていけるような状態ではありませんでした」 川内は暑さのなかでキロ3分18~20秒で走ることしか想定しておらず、湿度が低くなったからといって、ペースを変えられる状況ではなかったという。河野匡強化委員会長距離・マラソンディレクターも「この天候に関しては全然読めなかった」と話しており、日本勢としては涼しくなったことが裏目に出たといえるだろう。