フジクラ、英国の光ケーブル工場閉鎖。価格競争激化・輸出に切り替え
フジクラは英国南部の光ファイバケーブル工場を閉鎖する。英国市場での価格競争激化に対応するため、高い技術力・生産能力で低コスト生産が可能な日本国内の製造拠点からの供給に切り替える。岡田直樹社長は「コスト競争力を強化し、欧州でのビジネス拡大をさらに図る」と話している。同社では英国市場を重視しており、今後は敷設効率を向上させる新製品の投入などを予定している。 閉鎖するのは英国のグループ会社AFLテレコミュニケーションズヨーロッパが運営する、同国南部ウィルトシャー州スウィンドンに立地する工場。表面が低摩擦で空気圧を利用して効率的に敷設できるエアブロー方式の細径高密度光ケーブルを製造している。細径高密度光ケーブルは構造の抜本的見直しなどで大幅細軽・軽量化した戦略製品。2021年から英国でも生産している。 現在価格競争が激化しているのは英国の通信キャリア向けの市場。金利上昇に伴う顧客の投資コスト抑制ニーズなどが市場環境が変化した背景にあるとみられる。細径高密度光ケーブルについては英国市場ではこれまでは地産地消での供給体制を敷いてきたが「技術力・生産能力で勝る国内生産に回帰することでコスト競争力を強化する方針に転換する」(岡田社長)考えだ。 フジクラでは日本国内では佐倉事業所(千葉県佐倉市)で細径高密度光ケーブルを製造している。同事業所はフジクラグループの光ケーブル事業のマザー工場。そこで有する高度な技術力を生かして製造する、品質・コストを両立した製品を英国に輸出して市場環境の変化に対応する。 英国スウィンドンの光ケーブル工場は閉鎖するが英国通信事業者向けの市場は引き続き重視。エアブロー方式の細径高密度光ケーブルで敷設効率をさらに高める新製品の開発を進めており、今年度内にも市場に投入したい考えだ。