EV制覇を狙うインドネシア 「バッテリー製造」に必要なニッケル、コバルトの生産量で世界をリード
2045年までに先進国入りする──そんな国家目標を掲げたインドネシアが大きな賭けに出た。電気自動車(EV)生産で世界の中心地になろうとしている
大胆ながら、理にかなった計画と言えるかもしれない。何しろインドネシアは、EVバッテリー製造に必要なニッケルの生産量では世界の半分近くを占め、コバルトの生産量もコンゴに次ぐ2位。政府は補助金や税制優遇で成長分野のEVを推進している。【高木由美子(本誌記者)】 [動画]爆発!多発する電気自転車とEVの炎上事故 既に韓国の現代自動車や三菱自動車など大手がインドネシアでEV生産を開始している。中国の比亜迪(BYD)も今年中に参入予定だ。 とはいえ、インドネシアのEV生産が快適に走り続けるには課題も多い。アメリカやEUで保護主義的な政策が進み、自国のEV生産保護のためにインドネシアからの輸出を阻む可能性がある。 技術革新によりニッケルもコバルトも使用しないLFPバッテリーが世界で急成長しているのも懸念材料だ。 高価だがより環境に優しいこのバッテリーは、従来型バッテリー頼みのインドネシアEV業界を脅かすだろう。さらにはEVブームに乗りたいライバル国が増える可能性も高く、厳しい競争になりそうだ。