つり橋巡りはいかが 和歌山県田辺市で大学生が旅行商品開発に挑む
和歌山県田辺市の建設コンサルタント会社でインターンシップ(就業体験)中の大学生が、つり橋を巡る旅行商品の開発に取り組んでいる。市内のつり橋数は全国最多。地域資源を生かした経済活性化はもちろん、土木技術に関心を持ってもらうことで、業界の人手不足解消を図る狙いがある。 【田辺以南は「参加」1割未満 小中学校、日帰り困難、和歌山県の万博招待事業の記事はこちら】 短期の見学や体験でなく、1カ月以上学生と経営者が協力して企業課題に挑む実践型インターンシップ。田辺市朝日ケ丘の「初山」では、早稲田大学政治経済学部4年の高野夏月さん(25)が8月1日から9月27日まで取り組んでいる。 つり橋は空間に張り渡したケーブルに沿って橋床をつるした形式の橋。絶景やぐらぐらと揺れるスリルを味わえるとして、人気スポットもある。県内のつり橋は118橋で、うち田辺市が63橋と半数を占める。 高野さんは市内のつり橋を現地調査したほか、インターネットでのアンケートや関係者への聞き取りで、つり橋観光の需要を探った。小学生向けにつり橋と土木技術に親しんでもらうワークショップ、ファンを増やすためのイベントなどを企画している。 このほど取り組みの中間報告会が初山であり、会社の幹部や市職員らが参加して、意見交換した。 高野さんはつり橋観光には「つり橋巡り」「SNS映え」「ご当地グルメ」などの需要があるとし、ガイドツアーや拠点となる古民家カフェ、ダムカードのような「つり橋カード」などのアイデアを提案した。 課題として行政や地域との協力体制づくりやインターン終了後の運営組織づくり、駐車場などつり橋周辺の整備を挙げた。 参加者からは「収益をどうやって生み出すか」「各地のつり橋を記したマップを作成してはどうか」「つり橋周辺の地域イベントと連動して周知を図ってはどうか」などの意見が出た。 高野さんは「景観の良さとスリルは渡った人しか分からない。課題は多いが、ゼロから一をつくる取り組みにやりがいを感じている」と意気込みを語った。 初山測量設計部の皆瀬雅也次長は「管理者や地元と合意形成を取らないといけない部分もあるが、一歩ずつ進めたい」と話した。 実践型インターンシップは、田辺市東陽の教育会社「トゥデイ」が手がけている。今夏は初山以外にも観光会社や建設会社などで大学生を受け入れている。
紀伊民報