新入社員です。はじめての給料が出たのですが、給与や残業代はどう計算されていますか?
4月から新生活が始まった新社会人の皆さんは、すでに初任給をもらったことでしょう。学生時代、アルバイト先から受け取れる給与は、「時給×労働時間」とシンプルだったはずです。 ただ、正社員になったあとは、「基本給+各種手当」の合計から、社会保険料、所得税などの各種控除が引かれるという、これまでにもらったことのないような項目が記載されている明細を受け取ることになります。今回は、この明細を読み解いてみましょう。
給料は毎月変わるの?
入社した時に、会社から交付された雇用契約書を見ると、労働条件や給料についての内容が詳細に記入されています。 給与の欄に記載してある基本給や通勤手当、資格手当など、固定で支給される部分は理解しやすいでしょうが、そのほかの各種手当に関して、どんな計算をされているのか、理解は難しいことでしょう。変動のある時間外手当や休日労働などの割増賃金の計算方法は、労働基準法には記載されていますが、実態の計算方法は会社ごとに異なるため、意外と理解しにくいのです。 雇用契約書には、割増賃金についての記載は、労働基準法どおりの25%、50%、35%と、シンプルに割増率のみ記載されているのではないでしょうか。正確には、労働基準法には、25%「以上」、50%「以上」、35%「以上」というように、時間外もしくは休日に労働した場合には、「○○%以上の割増賃金を支給しなさい」と規定されています。労働基準法に規定されている割増率を整理すると、図表1のようになります。
【図表1】
法定「内」なのか法定「外」なのかで、割増率は変わる?
前述の表を見て、「時間外」について割増率がいくつかあるものの、何が違うのかと思った方もいるでしょう。「時間外労働」というのは、1日8時間、週40時間を超えたときと労働基準法に明記されています。これが「法定労働時間」ですから、労働基準法に定められているルールどおり割増賃金を支払おうとすると、1日もしくは1週間について、この数字を気にする必要があります。 つまり、たとえば会社からは9時から17時半までが所定労働時間といわれたとしましょう。この会社は、通常12時から1時間などの昼食のための休憩がありますから、実質の労働時間は7時間30分となります。そうなると、もし18時まで労働したとしても、この30分に対して25%の割増率を与えられるかというと、必ずしもそうなりません。これは1日8時間を「超えていない」から、割増賃金を支払っていなくても、労働基準法違反とはならないのです。 また、土日が休日と定められている週休2日制となっている会社の割増率も同様の考え方です。土曜日に出勤しても、1週間40時間を超える部分について、時間外労働の25%の割増率で、「休日労働」の35%が適用されないこともあります。