「言った言わない」の不毛すぎるやり取りをなくして、社員にやる気を出させるシンプルな方法とは
問題発生要因を特定すること
もちろん議論自体に中味がなければ意味がない。しかし、ここでもダメな企業には共通点があるという。 「多くの企業との間で多くの会議をする中で見つけた、決定的に良くないことを一つ挙げるなら、『問題発生要因を特定せずに打ち手ばかりが議論されていること』があります。なぜそれが起こったのか、問題発生要因を特定しなければ本当に効果的な打ち手はわからないはず。ところがなぜかそこを突き詰めないままに対策だけ議論する組織が多いのです。 本の中でご紹介した、わかりやすい事例を挙げてみましょう。 重要な会議に遅刻してくる問題メンバーがいたとします。ひと昔前なら、『気合が足りない』と叱責しておしまいかもしれませんね。でも、そうではなくて、まずは遅刻の原因を突き詰めていくのです。 メンバーに『なぜ寝坊したのですか?』と聞くと、目覚ましをセットし忘れたと答えたとします。それで話を終わらせずに、『ではなぜセットし忘れたのか』を聞く。すると、『今日の会議が重要だという認識が薄かったから』という答えが返ってきた」
ようやくわかったこと
さらに重ねて聞いていくと、こんなことがわかったという。 「自分が出ても出なくても影響がない会議で、ただ命じられたから出なければいけないと思っていた、という認識を持っていることが明らかになります。 こうしてようやく、このメンバーに対して必要なのは『気合い』でもなければ、高性能の目覚ましでもなく、会議の意味をきちんと認識させるマネジメントだということがわかるわけです 逆に言えば、このメンバーに対して会議に出ることの意味付けをしっかりできていなかったというマネジメントのエラーが問題発生要因だったということが明らかになったというわけです」 ここまででまずはメンバーの意識、あるいはマネジメントの問題点が可視化されたことになる。そしてさらに対策面でも可視化を意識するのがベターだという。