国内政治に翻弄された外交:米中対立の東アジアに「独自性」を構想できるか|9・11から20年:絶対の「自由と民主」が去った世界で
Copyright (c) 2021 SHINCHOSHA All Rights Reserved.
個人的体験から始めたい。 2003年4月9日。朝日新聞の政治担当編集委員だった私は、東京・築地の朝日新聞本社6階の編集委員室でテレビ画面を見つめていた。 米軍がイラクに侵攻 したというニュースを聞いたからだ。テレビは現地の映像を伝えていた。米軍の兵士が次々と首都・バグダッドに入り、サダム・フセインの巨大な銅像が倒されるシーンが繰り返し流された。イラク側の抵抗の様子はなく、街にはイラク兵の姿も見えない。 2001年9月11日の同時多発テロ を受けて、米国のG・W・ブッシュ政権が着手したアフガニスタン侵攻でタリバーン政権は崩壊。続いてブッシュ政権は、明確な根拠がないままイラクへの侵攻を進めた。米軍の苦戦も指摘されたが、結果はあっけないバグダッド陥落。同時テロで大きく揺らいだ米国の威信は回復したかに見えた。
本文:5,350文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
星浩