南島原・道の駅「ひまわり」サテライトオフィス頓挫 補助金9000万円未回収 長崎
長崎県南島原市が深江町の道の駅「ひまわり」に整備を進めている「サテライトオフィス」を巡り、事業主体の業者が資金難などを理由に撤退し、市が業者に支出した補助金9千万円が返還されていないことが18日、分かった。 事業が頓挫した形になり、同日開かれた市議会全員協議会は紛糾。市議から「事業者の資力や資産を精査したのか」「一刻も早く補助金の回収を」などと市の責任を追及する声が上がった。 サテライトオフィスは、ひまわりの遊休地に整備する計画。市外の企業を誘致して入居してもらい、交流人口を拡大する狙い。 佐世保市で飲食業などを展開している「エバーグリーン」(地頭薗さゆり代表取締役)が事業主体となり、国と市の「サテライトオフィス等開発支援事業補助金」(約1億2千万円)を活用して、昨年度から老朽化した施設の改修に着手していた。 市は補助金を9千万円と概算し昨年8月、エバーグリーンを通じて福岡市の施工業者に支出。しかし、資材不足や人員不足で工事が遅れ、エバーグリーンは今年5月31日に「事業廃止届」を市に提出した。 3月末までにエバーグリーンから工事未実施分の補助金が返還されず、市は今月3日に補助金交付の取り消しを決定した上で、9月2日までに9千万円を返還するよう同社に通達した。同社は「お金がない」と説明しているという。 市議の一人は「回収できなければ9千万は市の損失になる。自己破産などされる前に、預金や不動産を差し押さえるなど法的措置を取るべきだ」と求めた。 定例南島原市議会は18日に開会し、会期を7月5日までの18日間と決め、総額9億1千万円の本年度一般会計補正予算案など34件を上程した。一般質問は20、21、24日の3日間で、13人が登壇する。