東京23区内唯一の渓谷 都心からわずか20分、等々力渓谷に紅葉を見に行こう
また、園内には陽当たりのよい芝生広場があって、帰路に着く前にここで一息入れるといいかもしれない。ただし日本庭園エリアについては3月~10月が午前9時~午後5時、11月~2月が午前9時~午後4時30分(12月29日~1月3日休園)と開園時間が定められているので注意したい。
30年近く前、筆者は自由が丘に住んでいた。ある日、等々力方面をジョギングしていたところ、偶然に等々力渓谷にたどり着き、眼前に突然現れた自然の景観に心底驚いた。それが等々力渓谷との出逢いだったわけだが、後から調べてみると、日本庭園や等々力不動尊、大和時代につくられた古墳があったり(都指定史跡)、休憩処も備えられ、公園としての体裁も整っている。
ただし規模としては、大自然というにはいささかスケールが小さく、過剰な期待を抱いてピンポイントで行くと意外にがっかりするかもしれない。世田谷区にあるのだから当たり前だが、奥多摩のような大自然が広がるエリアとは違う。等々力渓谷の素晴らしさは、都会の中にあってその一角だけが取り残されたオアシス的な味わいにある。オフの日に、気軽に森林浴に行きたい、日ごろ仕事で疲れている目や気持ちを休ませたい、そんなときにふと訪れてみるのに最適なスポットといえるだろう。
今回は編集部から「紅葉を撮ってきて」とのオファーだったので紅葉を探し歩くことがメインになってしまったのだが、取材時点(11月下旬)では下流まで行かないと紅葉を見ることができなかった。これから12月上旬にかけて見頃がきそうだ。しかし歩いている間あらためて感じたのは、自然環境の心地よさ。109だセンター街だヒカリエだと、にぎやかな大都会・渋谷からわずか20分程度の地点に、ゆっくり自然と戯れることのできる場所がある。ぜひ一度、訪れてみてはいかがだろうか。 (取材・文・撮影:志和浩司)
【等々力渓谷(とどろきけいこく)】 所在地:東京都世田谷区等々力1-22、2-37~38 最寄駅:東急大井町線「等々力駅」徒歩3分 最寄バス停:東急バス、都営バス「等々力」徒歩5分 問い合わせ:玉川公園管理事務所、電話:03-3704-4972