「マンUでクリロナにディスられた監督」「万能主将アラバはケガで出場NG」なのに…オーストリア“EURO躍進のナゼ”「心から楽しんでるよ」
万能アラバは“プレーしないキャプテン”として
「うちのベンチには、フットボールのイロハを知り尽くしている人がいる」とザビツァーは付け加えた。誰のことを指しているのかは、聞かなくてもわかる。 「このチームとスタッフと過ごす毎日を、心から楽しんでいるよ。できるだけ長く、ここに留まりたい」 ラングニック監督の哲学が浸透しているオーストリアは、彼が率いた頃のユナイテッドよりもクラブチームのように見える。イングランドで頑固というレッテルが貼られた指揮官は今、戦術家としての手腕だけでなく、優れたマネジメント能力も発揮している。 ひざの重傷により本大会に参戦できなかったダビド・アラバを、“プレーしないキャプテン”として帯同させたのだ。さらにレギュラーだったMFクサバー・シュラーガーとGKアレクサンダー・シュラーガーも、故障によりメンバー外。つまり、主力を3人も欠きながら、困難なグループで列強国を上回ったのだ。 「この組をトップで突破できたことは、信じられないほどに素晴らしい。我々のエネルギーに溢れる勇敢なパフォーマンスが報われた形だ」とオランダ戦後にラングニック監督は語った。
以前も今も“EUROで優勝できる”とは…
ハードなプレッシングスタイルは、最終ラインの後ろに広大なスペースを生むため、相手にそこを突かれ、ピンチを招くこともある。しかしそのダイナミズムに満ちた戦いぶりは、選手だけでなくファンの心も掴み、隣国ドイツには今、たくさんのオーストリア人が駆けつけているという。 ラウンド16ではトルコとの熱戦が予想される。 そこを越えればオランダかルーマニアの勝者、さらにその先にはおそらくイングランドかイタリアが待っていそうだ。 「数カ月前、EUROで優勝できるとは考えていないと言った」とラングニック監督は慎重なトーンで言った。 「今でもその考えはあまり変わっていない。選手たちは出来るかぎり先まで行きたいようだが」 細部にこだわる智将は、自ら明かしたように、夢想家ではない。けれどあるいは選手たちは、再びスタンドに集結している多くのサポーターとともに、大きな夢を見始めているかもしれない。 <第1回からつづく>
(「球体とリズム」井川洋一 = 文)
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