【セルジオ越後】寂しい選考 サッカー界での五輪の価値の低下 日本も五輪に対する姿勢を考えろ
寂しい選考だね。MF松木が選ばれなかった理由は、移籍する可能性があるからだそうだ。それでは、選ばれた18人はオファーをもらってないからという理屈になる。もし、海外のクラブからオファーがあれば、五輪出場をあきらめる選手が何人も出てくるかもしれないね。 【一覧】サッカー男子日本代表メンバー 現在、サッカー界において、五輪という大会はそれくらいの価値しかない。オーバーエージ（OA）が呼べなかったのも、移籍が絡む選手がいたり、所属クラブの許可を得られないから。もし五輪の中のサッカーが、権威があって注目されて、その結果によってその選手の価値が上がり、移籍金が上がるなら、所属クラブは喜んで送り出すだろう。 日本は68年メキシコ大会以来のメダルとか言うけれど、当時と今ではメダルの重みが違う。当時はA代表の大会で、今は23歳以下の年齢別の大会に過ぎない。過去にはリオ五輪にネイマール、北京五輪にはメッシが出場した。ロンドン五輪ではイングランドと他の協会が協力して英国代表を結成した。しかし、その後は大会を重ねるごとに、五輪の中のサッカーはその価値を下げている。今回、フランス代表のエムバペが入らなかったのは、その表れでもある。 そろそろ日本も五輪に対する姿勢を考えた方がいいかもね。大学生を出すとか、国内組に限るとか。海外クラブの都合や移籍状況で、4年間の強化プランが直前で崩れるなら、監督は気の毒だし、選ばれる選手も、売れ残り感があって手放して喜べないからね。 最後に1つ。また今回も練習パートナーに19歳以下選手を何人か連れて行くという。4年後をにらんだ選択だが「年を取って経験を積めば成長する」は日本の固定観念。世界には、19歳で飛び級昇格が当たり前。19歳ならA代表に入ってもおかしくない年齢だ。高校3年生が卒業したら、1年生がレギュラーになる。この安易な考え方は、日本のサッカーをダメにするよ。（日刊スポーツ評論家）
