「ハーゲンダッツ」で愛媛・松前町のふるさと納税急増、「バー」製造はここだけで一躍人気に
町長はふるさと納税担当の元町職員
愛媛県松前町へのふるさと納税の寄付額が急増している。昨年度は、県内20市町中19位だったが、今年度は11月までに2037万円で、すでに昨年度の総額を超えた。今夏、返礼品に加わったハーゲンダッツなどのアイスクリームが起爆剤になったといい、町は「年度末には3倍に届くかも」と期待している。(住田勝宏) 【写真】返礼品は「ホンダジェット遊覧飛行」
町財政課によると、昨年度までは、町への寄付額は増えないのに、町民が町外の自治体に寄付したことによる住民税の控除額は年々増加。制度が始まって以来、ふるさと納税は「赤字」の状態が続いていた。
2023年度の町への寄付額は1221万円で、県内最下位の松野町の1047万円に次いで下から2番目。一方、住民税の控除額は5119万円だった。
昨年12月に就任した田中浩介町長は、元町職員で、ふるさと納税を担当していた。就任後すぐに、ふるさと納税による「赤字」解消に着手。自分の後任の担当・西川浩一郎財政課主任に、返礼品の新規開拓などを命じた。
西川主任が最初に着目したのが、有名メーカーのアイスクリームの製造を請け負っているといううわさがあったアイスクリームメーカー「サンタ」だ。
以前は民間企業で働き、「飛び込み営業が得意」という西川主任は、同社と交渉を重ねた。サンタと取引がある全メーカーにアイスクリームを返礼品にできないか打診し、ハーゲンダッツジャパンとロッテから承諾を得ることに成功した。
ハーゲンダッツのバータイプのアイスがつくられているのは、国内では松前町だけで、人気を集めているという。
町内で加工されている冷凍の「むきえび」や「タラバガニ」も返礼品のリストに加えるなど、現在も新規開拓を続けており、当座の目標は納税額1億円だ。
県内で寄付額が最多なのは、駆け込み納税が増える11、12月に旬を迎えるかんきつ類の栽培が盛んな八幡浜市で、納税額は松前町とは桁が二つ違う。西川主任は「ふるさと納税は自治体間の競争で、寄付額は、返礼品の種類と相関関係がある。魅力的な返礼品を開拓すれば、町の知名度アップはもちろん、住民サービスの充実にもつながる」と張り切っている。