《最短相続の決め手》丁寧に作っておきたい「遺言書」 その“正しい書式”と検認の手続きが不要になる“法務局での保管制度”
法務局で保管なら検認が不要
自筆証書遺言は書き方のルールを間違えなければ紙切れでも遺言書と認められるが、気をつけるべき点は多い。前出・鈴木氏が言う。 「自筆の場合、開封時に相続人全員が立ち会いのもと家庭裁判所で内容を確認する『検認』の手続きが必要です。検認の前には相続人全員の戸籍謄本などの書類が必要で、家庭裁判所がその書類を確認するのにも時間がかかる。申し込みから1か月後くらいに検認日を指定されるケースが多く、手間も時間もかかります」 そこで活用したいのが、2020年7月に始まった法務局での保管制度だ。 「法務局に保管しておけば検認が不要で、書式の不備のチェックもしてもらえます。利用する際には遺言書を書いた本人が法務局に出向き、遺言書と本籍記載のある住民票などを持参します」(同前) 一方、公証役場で公証人と2人の証人が立ち会って作成する「公正証書遺言」は、2万~5万円ほどの費用がかかるが相続手続きを円滑に進めるうえではメリットが多い。 「作成時に公証人が認証するので、相続発生後に裁判所にもう一度確認してもらう必要がなく、検認は不要。最短で相続するなら公正証書遺言の作成が理想です」(同前) ※週刊ポスト2024年10月18・25日号