「寂しくなります」よりさらにイイ…栄転か左遷か不明な異動をする相手にかけて自分の株が上がる名フレーズ
■「名刺が変わった」という相手に「おめでとう」はアブナイ 終身雇用と年功序列の時代には「異動した」と聞けば、それはたいてい昇進を意味しました。地位が上がったのだから「おめでとうございます」はおかしくないと思うでしょうが、ビジネス環境が変化した昨今では、逆に気まずい空気になることがあります。 私は名刺交換をしたことのある人と久しぶりに再会し、改めて“現在の名刺”を渡されたことがあります。部署が変わられていたので、決まり文句で「ご栄転おめでとうございます」と言ったのですが、その日は想定外のリアクションが返ってきました。 「それって、嫌味ですか?」 どうやらその方が異動した部署は、これまでの部署より社内的な影響力が弱いらしく、本人は“外された”と受け止めていたようなのです。 「えっ、そうなんですか? またまたぁ~」と誤魔化してその場は何とか取り繕いましたが、面倒くさい世の中になりました。当然、私には嫌味のつもりなど毛頭なく、先方の社内事情なんて知ったことではないのです。 そもそも「おめでとうございます」には“良いことが起きましたね”という意味合いが含まれます。けれど、その価値判断が必ずしも相手と一致しているとは限りません。明らかな昇進・昇格でも、本人は「もっと現場に居たかった」「ほかにやりたい仕事があった」と思っているかもしれないのです。 かといって「お気の毒に。人生のどん底ですね」などとネガティブなことを言えば、相手の傷心に塩を塗ることになりますし、「そうなんですね」と無関心を装うとコミュニケーションになりません。「おめでとうございます……で、いいんですよね?」と念押しするのも、答えがどちらにせよ相手を不快にさせてしまうでしょう。 では、どうすればいいでしょうか? 一つは価値判断を入れず事実だけを確認するように投げ返す方法があります。 「○○支店に異動になりまして」 「○○支店に異動されたのですね」 これなら自分の価値判断を挟まずに、相手に関心があることを伝えることができます。そのうえで相手が嬉しそうに「部下が増えました」「通勤がラクになりました」などポジティブな二の句を継いできたら、そこで「それは良かったですね」などと声をかければいいでしょう。