【アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談】「真面目って損ですか？」にズバっと回答！
働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない（!?）アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第15回！ 今回は、真面目に働いてきた自分がかわいそうに見えて仕方がないという悩みに田中先輩が的確アドバイス！ 【写真】アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談まとめ
《今月のお悩み》真面目って損ですか？（33歳・会社員）
自分で言うのもなんですが、真面目に働いてきました。でも最近、そんな自分がかわいそうに見えて仕方がありません。バレない範囲で手を抜いたりして、楽しく働いている同僚をうらやましく感じます。その同僚は華やかな仕事をもらったり、得をしているようにも見える一方、自分は、面倒な仕事を押しつけられたり、地味な仕事ばかり。田中さん、真面目でいることって損なんですか？
田中先輩の答え…人生はつみたてNISA。地味なコツコツが未来をつくる
“真面目”は素敵なこと。誇りに思っていいんですよ 世間の人々はよく「日々の努力は誰かが見てくれていて、いつか必ず報われるときがやってくる」と言うけれど、「いや、不真面目に要領よく生きている人のほうが得していない？」と思ってしまう……。真面目に生きている人ほど、そう感じる瞬間は多いのではないでしょうか。 かくいう僕もその一人です。若手の頃は「30歳までに売れなかったら広島に帰る」と決意。芸人仲間からの遊びの誘いも断り、休日もバイトの空き時間もコツコツとネタを書き続けていたら「真面目すぎる！ そんな芸人いないよ！」とロッチのコカド君から怒られたこともあったりして。 笑いのセンスがある人はパッと面白いことが言えるけど、僕は真面目に努力を積み重ねないとそこへはたどり着けない。僕自身は「お笑いを研究してやっています」という人なので。だからこそ、センスや感覚でウワッと大きな笑いを取れる人のことをうらやましく思うこともあるんですよ。 お笑いの世界は一生懸命に努力をしているけど売れない芸人だらけです。その中でもたまにラッキーだけで売れてしまう人がいたり。コンビで真面目にネタを書いているほうではなく、書いていないほうがテレビに出るようになってしまったり……。お笑いの世界は不条理の壁にぶち当たることも多い場所だと思います。 じゃあ、その壁を芸人たちはどう乗り越えているのか。その答えは「真面目な人は真面目にやり続ける」なんですよ。たとえば「あったかいんだからぁ」で一世を風靡したクマムシ。最近、長谷川のインスタグラムを見たら近況だけでなくネタみたいなのもアップしていて。人気が落ち着いた今もコツコツと努力を続けているんだよね。そんな長谷川もだけど、頑張っている人を見ると僕は応援したくなる。 だからこそ「日々の努力はいつか必ず報われる」は本当だと思っている。「真面目だな」と言われると「面白みに欠けるヤツだ」と言われている気分になるという人もいるけれど、僕はむしろ素敵なことだと思うんだよね。 僕が真面目にネタを書いている間、相方の山根は飲み会や合コンに行っていたりして。昔はそれがすごくイヤでした。でも、そこで山根がいつも言うのが「自分は机の前に5分も座っていられない」「自分にはその才能がない」という言葉で。それを聞き続けるうち「真面目もひとつの才能なんだな」と感じるように。「他人より一生懸命にできることをもっと誇りに思ってもいいんじゃないかな」って思えるようになりました。 自分に目を向けていると気づきにくいけど、周りを見渡すと真面目のよさが見えてくることがある。たとえばさ、職場にも真面目な人と不真面目な人がいると思うんだけど、一緒に仕事をするなら絶対に前者のほうがよくないですか？ 株にたとえるなら、不真面目さんは株価が上がる可能性も暴落のリスクも大きい急成長企業のギャンブル株。真面目さんは利益も少ないがリスクも少ない安心安全な大企業の手堅い株。目先の利益だけを見ると不真面目さんをうらやましく思ってしまうけれど結局は上がったり下がったり。総合的に見ればいつか真面目さんの利益がそれを超えるときがやってくる……。そう、人生はまるでつみたてNISA。お金も努力もコツコツと積み立てた先に幸せな老後（未来）がきっと待っているんじゃないかな。
田中卓志 たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」（フジテレビ系）など多数のバラエティで活躍中。 撮影／黒沼 諭〈aosora〉 ヘア＆メイク／高橋将氣 スタイリスト／高山良昭 イラスト／ますこえり 取材・原文／石井美輪 撮影協力／アワビーズ ※BAILA2023年12月号掲載
