【40代・50代ご用心!「痔」はお尻の生活習慣病④】痔を改善するには、食生活を見直して便通を整えることから!
下痢ぎみの人は高FODMAP食品に注意
「腸活しているのに下痢しやすい」という場合は、高FODMAP食品をとりすぎていないか、日頃の食事をチェックしてみて。
【高FODMAP食品とは?】 高FODMAP食品とは、腸内で発酵しやすく、吸収されにくい糖質を含む食品のこと。Fermentable(発酵性)、Oligosaccharides(オリゴ糖)、Disaccharides(二糖類)、Monosaccharides(単糖類)and Polyols(ポリオール:ソルビトール、マンニトール、キシリトール)の頭文字からFODMAPと呼ばれる。 主にヨーグルトなどの乳製品、ケーキなどの甘いもの、果物、パン・パスタなど小麦粉を使った食品、納豆・豆乳などの大豆食品、アルコールなど、上に挙げられた糖質を多く含む食品を指す。 なかでもヨーグルトは腸活によいとされる食品だが、近年、過敏性腸症候群をはじめとする下痢しやすい人たちは、高FODMAP食品を控えるほうがよいといわれているのだ。 というのも、糖質は通常は消化を受けたのちに小腸で吸収されるが、人によって高FODMAP食品に含まれる糖質が吸収されにくい場合があるからだ。すると吸収されなかった糖質が大腸まで下降して、大腸内の浸透圧が高くなり、水で薄めようとする働きが引き起こされてしまう。そのため、便が緩くなってしまうのだ。また、大腸の中に糖が増えることで、悪い働きをする腸内細菌が活性化し、ガスの発生や痛みを引き起こしやすくなる。 「ですから、便が緩くなりやすい人の場合、高FODMAP食品をとりすぎないよう、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよくとることがポイント。高FODMAP食品の摂取が多くなっていないか、食事内容を見直すことが大切です」
便秘対策の水分摂取は適度に。むしろ食事内容のほうが大事!
「便秘予防には水分補給が欠かせませんが、1日2ℓ以上と、季節を問わずに無理して飲む必要はありません。『2ℓ』にとらわれると、頻尿や尿もれを招くことがあるからです」 成人女性の1日の尿量は1200~1500㎖ほどなので、そのくらいを目安に水分補給量を調節するとよいだろう。 「痔を予防・改善するには、まずは食事を見直して、排便を整えることが最重要。一汁三菜を基本に、汁物、白米ご飯、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維をバランスよく取り入れ、偏った食べ方をしないように心がけてください。 今や、腸のコンディションも多様性の時代。メディアでおすすめの食品であっても、人によって『合う・合わない』というケースがあります。特定の食べ物にこだわらず、自身の便の硬さに応じて食事を合わせていきましょう」
【教えてくれたのは】 高橋知子さん 亀田総合病院消化器外科部長。東京女子医科大学卒業。亀田京橋クリニックにて、全国でも珍しい直陽と肛門の疾患に特化した「女性のためのこう門・おつうじ外来」を担当。専門分野は肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害。女性たちの便秘や痔、便失禁、直腸脱などのトラブルに対して、専門的な治療とともに生活指導を行っている。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/大石久恵